ガングリフォン・ムック(仮)

名作ゲーム、ガングリフォンシリーズについて考察するブログです。他のゲームも時々語ります。更新不定期。

16式はそんなにカッコ悪いのか?

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今回はブレイズの主役機である16式について少し話そうと思う。16式とは言うまでもなくMDM社が開発した16式装甲歩行戦闘車(HIGH‐MACSⅢ)のことであり、初代の主役機であった12式の実質的な後継機で、12式改との競作の末に生み出された兄弟機でもある。

 

重装化を推し進めた12式改とは対照的に高機動化を推し進めた軽量型として開発されており、多彩な武装を運用出来る汎用性の高さやC-17輸送機で四機を輸送可能な戦略機動性の高さがウリの空中機動部隊向きの機体となっている。

 

開発そのものは大戦前から始まっていたが、完全な新規設計であることもあって計画は遅れに遅れ、戦局の悪化と共に防衛庁も本機への興味を失ったこともあり、倉庫の片隅で埃を被ることとなった。

 

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。戦後に再開された国連PKOへの日本の参加にあたって再びスポットライトが当てられ、評価試験において高級機である12式改に勝るとも劣らない総合性能を示したため、急遽量産が決定。新生・日本外人部隊の主力機として制式採用されることとなり、世界各地の紛争地帯を転戦することとなった。

 

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ブレイズのパッケージアートを飾る16式。ゲーム中のモデリングとは異なるブルーのカラーリングが爽やかな印象を与える。

 

しかしこの16式、世間では余り人気がないらしく、そのSFチックなフォルムから「ロボットっぽくなった」とか「ヒロイック過ぎる」、「肩の出っ張りがイヤ」といった悪評は目にしても、「16式が好きだ」と表明する発言を目にしたことはほとんどない。ガングリ界隈におけるブレイズという作品の不人気ぶりを差し引いても、少々可哀そうなほど評価されていない、悲運の主役機となってしまった感がある。

 

筆者個人の感想を言えば16式は十分カッコいい。いや、筆者自身はさほど目の肥えたメカオタクというわけでもなければメカに一家言あるというわけでもなく、某H氏から「メカ音痴」の称号も頂いたほどのヘッポコだからいくら「カッコいい」と主張したところで何にもならないのは重々承知しているのだが、取り合えず16式は普通にカッコいいと言って良いと思っている。

  

もしHIGH‐MACSシリーズが現実にあったとして「どれに乗りたいか?」と問われたら、真っ先に「16式に乗りたい」と答えるくらいにはカッコ良いのではないかと思っている(でも実戦で乗りたいのはチャレンジャーry)。

 

もちろん、「AWGSの魅力はあくまでも装甲車両やヘリの延長線上に位置するデザインにあるのであって、16式はややSF寄りになり過ぎているのだ」という主張が全く分からないわけでもない。丸みを帯びた胸部や肩の出っ張りといった16式の外観はなるほど12式や12式改に比べていささかヒロイックに過ぎるし、これまでのデザインラインとは全く異なるフォルムに違和感を持つ人がいるのも頷ける。

 

12式もロボットらしい手足や可変式の滑空翼を持つなど従来の兵器に比べれば相当ヒロイックなデザインではあったが、設定を手掛けた岡田氏とBEE‐CLAFTのデザイナー山田氏の努力によって結果的にはヒロイックさとミリタリーテイストを上手く融合させたバランスの良いデザインに仕上がっていた。続編に当たるⅡの主役機・12式改は胴体や脚部、滑空翼が大型化し、ヒロイックというよりはむしろ凶悪に見えるほどの骨太なデザインとなり、これも12式とは似て非なる独特の魅力を備えていた。

 

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ガングリフォンⅡの主役機、12式改。オリジナルの12式に比べて胸部や脚部、滑空翼などが大型化しており、非常にマッシヴなデザインとなっている。

 

これらに比べると16式のデザインはややタガが外れ、ヒロイックに、或いはSFチックに傾き過ぎたという主張は理解出来る。12式や12式改がギリギリのところで保っていたミリタリーテイストが払拭され、より航空機寄りのイメージに一新されたデザインラインが反発を呼ぶのは分からぬことではない。多少意地悪く言えば、いささか「普通のロボット」になってしまってたようにも感じられてしまう。 

 

しかし、筆者はそれでも16式は十分にカッコ良い機体になっていると思う。

 

世代を重ねればどんな兵器でも洗練されてくるのは当たり前で、「ロボットらしくなること」そのこと自体にも違和感はないと思っている。むしろ、いつまでも装甲車両の名残を残している方が不合理ではないだろうか。

 

実際、歩兵の持つ小銃から戦車、戦闘機といった実在の兵器もそれが登場した頃から比べれば随分洗練されたデザインになってきたのは周知の事実だ。ことに歩兵の持つ小銃はSFチックな外観のものも増え、流線型のフォルムやプラスチックなどを多用した近未来的なデザインの銃器は決して珍しい存在ではなくなった。

 

それは戦闘機などを見るとより良く分かるだろう。プロペラがなくなり、機体の表面が空力特性を考慮した滑らかなものになり、エンジンも武装も高度化し、その外観はおよそ比べ物にならないほど進化している。特に旧ソ連製の戦闘機やヘリなどが時に生物を想起させるような外観を持っているのはつとに有名で、無駄なものを削ぎ落としてどんどん洗練されていった結果、鳥のような、或いは昆虫のような美しいフォルムを手にすることになったわけだ。

 

こうしたことを考えると、AWGSが装甲車両というイメージから離れてロボット化していくのもそれはそれで自然な流れと言えるのではないだろうか。実際、16式のフォルムはどことなく戦闘機を彷彿とさせるものがあるし、(あれで実際に飛べるかどうかはともかく)どちらかと言えば航空機に近いHIGH‐MACSの特性を考えれば、あのデザインは重装化を推し進めた12式改よりも理に適っているようにすら感じられる。

 

「肩の出っ張りがヒロイック」という批判も頷けるのだが、こちらも戦闘機的なイメージだと思えばギリギリ許容ラインではなかろうか(いや、許容出来ないから批判があるのだろうが)。

 

ただし、筆者のこの「16式カッコいい論」(適当過ぎるネーミングで申し訳ない)にも一つの前提条件がつく。それは「ゲーム中の16式以外は」という致命的な前提条件だ。

 

どういうことかというと、筆者が考えるカッコ良い16式とはあくまでもパッケージアートに描かれた16式やOPムービーに出てくる16式であり、或いはパーフェクトガイドに掲載されていたペーパークラフトやまん点工房さんなどから出されているガレージキットなどの16式であって、残念ながらゲーム中のそれではないのである。

 

結論を言おう。

 

正直なところ、ゲーム中の16式は余りカッコ良くない。それ以外はカッコ良い。以上。

 

 

 

・・・・・・。

 

 

 

これではあんまりな結論なのでちゃんと説明しよう。

 

16式自体のデザインが良いのか、悪いのか。この議論は取り合えず置くとしよう。これに関しては個人の感性もあるだろうし、「カッコ良い」と思う人がいても「カッコ悪い」と思う人がいても当然であって、それはそれで構わない。意見が割れるのはごく自然なことだ。

 

が、「ゲーム中の16式はやはりそれほどカッコ良く見えない」という点において意見の相違はそう生まれそうにない。何せ16式好きを公言する筆者ですら、「ゲーム中の16式はちょっと・・・・・・」と思っているクチなのだから。16式自体のデザインを受け入れられるか受け入れられないかは別として、これはやはり問題だと言えるだろう(ゲーム中の16式が好きだという方がいたらごめんなさい)。

 

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16式のモデリング。これだけ見るとどうもパッとしない。

 

では、ゲーム中の16式はどうしてカッコ良く見えないのか? これはブレイズになって一新されたモデリングに大きな要因があると思う。

 

ご存じの方も多いだろうが、ブレイズに登場するAWGSのモデリングはSS時代の二作に比べて軒並みデフォルメされており、設定画や三面図との乖離が激しいため、単純に「カッコいい」と言いづらい。これは16式だけではなくて、ブレイズに登場するどのAWGSにも当てはまる。

 

これがBMXや13式といった小振りな機体やティーガーやリットリオといった多脚型ならまだ良い。これらの「人間とは明らかに違うフォルム」のAWGSだとデフォルメされていてもそれほど大きな違和感はない。むしろ機体によっては存在感が増して旧作よりもカッコ良いんじゃないかと思うものもないではない。 

 

だが、人間に近い形態のAWGSは軒並みカッコ悪い。少なくとも、プロポーションの点においてはSS時代のモデリングの方が多少の粗さはあれカッコ良く見える。これはなまじ人間に近い形状の分、デフォルメの度合いが良く分かり過ぎてしまうことに起因しているのだと思う。

 

例えばHIGH‐MACSシリーズやストゥームパンター、M16A1といった人型の機体にはメインカメラを搭載した頭部が胴体上面に存在するが、ブレイズのモデリングだとこれらの頭部が設定画よりも軒並み大きくなっている。このことは兵器図鑑で確認すれば更に良く分かるだろうが、このせいで旧作のモデリングに比べてどれも「頭でっかち」に見えてしまうのだ。

 

これがM16やストゥームパンター、9式といった武骨さがウリの機体ならまだ見れなくもないが、より人型に近く、スマートさがウリのHIGH‐MACS系統の機体ともなると印象としては全滅に近い。過去の主役機体である12式や12式改すら旧作に比べてプロポーションが明らかに劣化していて、特に12式改に至ってはなまじ機体の各部が大型化している分だけデフォルメが悪い方向に作用しており、一見して機体のバランスがおかしなことになっている。

 

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初代ガングリフォンのオープニングムービーに登場するパンター。設定画や三面図に近い、端正なフォルムになっている。

 

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ガングリフォンⅡに登場するストゥームパンター。ポリゴンの粗さこそあるものの、三面図により近いプロポーションに見える。

 

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ブレイズに登場するストゥームパンターモデリング。上記のⅡの画像に比べて頭部が巨大化し、下半身が短くなったように見え、全体に寸詰まりな印象を受ける。

 

また、股関の幅が狭過ぎるのも問題だと思う。設定画などを見ると良く分かるが、作中の二脚型AWGSは脚部の付け根にあたる股関節の間隔が人間のそれよりも多少広めに取られている上、脚部もハの字状に若干開いており、人間に近いフォルムながら細部はやや異なるという、独特のデザインになっていた。

 

これは16式も同様で、説明書に掲載された設定画などを見ると股関節が広めに取られているのが分かる。ブレイズのパッケージアートやイラスト、OPムービーのモデリングやまん点工房さんのガレージキットなどもこれを踏襲して股関節が広めに取られており、頭部も小さいので随分スタイリッシュに見える。

 

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ブレイズのOP上で見られる16式。頭部の小ささや脚部の開き具合に注目してゲーム中のモデリングと比べて頂きたい。

 

実はこれが二脚型AWGS特有のかっこ良さを生み出す決め手だったりするのだが、どうしたわけかゲーム中のモデリングではこの股関節の間隔が狭いように感じられ、より人間に近いスマート過ぎるフォルムになってしまっている。他の部分では軒並みデフォルメを効かせておきながら、股関の幅だけより人間に近いものになっている理由は定かではないが、恐らく深堀しても余り面白い結論は待っていなさそうなのでここは敢えてスルーしよう。

 

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ブレイズの兵器図鑑で見られる16式のモデリング。一見して頭部が大きく、股間の幅が狭いように見える。そのせいか、イラストや設定画の16式よりもいささかスマート過ぎるように感じられ、足の開き具合が少ないために棒立ちのような印象も受ける。

 

この「ブレイズのデフォルメ効き過ぎ問題」(適当なry)は発売以前から言われていたことではあるが、改めて見るとやはり相当気になる部分ではある。実際、ゲーム中に登場する僚機の12式や12式改を見るとどうしてもその頭でっかちさに目が行ってしまって、「これは本当に初代やⅡで乗っていた機体なのか?」という疑問がムクムクと沸き起こって来る。

 

FPS視点のゲームということもあって自機の16式の姿を見るのはクリア時くらいしかないが、12式や12式改に比べれば多少頭でっかちな印象が薄れているというくらいで、カッコいいかと言われると少々疑問だ。

 

何だかタイトルとは逆に16式の悪口を言うだけの記事みたいになってきたが、こればかりは心を鬼にして言わねばならぬ。ゲーム中の16式のプロポーションは正直カッコ良いとは言いづらい。単純にカッコ悪いと言い切れない面もあるのだが、カッコ良いとも言いづらい。何とも微妙なのだ。

 

そもそも、ブレイズは機体のモデリング以外にも様々な点がデフォルメされている。それは敵AWGSのアクションだったり、破壊された時のコミカルな吹き飛び方とかであったり、そもそもスケール感のおかしな建物であったりするわけだが、あの悪名高いアイテムボックス共々、ゲームシステムの部分でも様々なデフォルメが施されている。

 

これに比べると、旧作にはこうした面でのデフォルメ感は少なかった。視程の短さとそこから来る交戦距離の短さといったハード性能に起因する問題はいくらかあったものの、少なくともデフォルメされていると感じられる場面はそれほど多くはなかった。 

 

勘違いしないで欲しいのだが、筆者は何もデフォルメが悪いと言っているのではない。前述のように機体によっては存在感が増していると感じられるものもあって、それは例えば多脚型のリットリオなどがそれに当たる。リットリオはもともとが細身の車体の上、旧作ではポリゴンの粗さや迷彩効果による地味な色彩も相まって今一つ存在感がなかったが、デフォルメされたブレイズでは車体や脚部が多少太ったことや迷彩の配色が明るくなったことによってかなり存在感が増したように感じられる。これはデフォルメが良い方向に作用した例として挙げても良いのではないかと思う(あくまでも個人の感覚だが)。

 

或いは、半分吹っ切れた感もあるシリーズ一の巨体を誇るエレファントのスケール感もゲームとしては悪くない。現実的に考えればあそこまでの巨体では兵器としての実用性は相当に疑わしいが、ゲームとして見ればああいうハッタリを利かせたデザインやモデリングもアリだろう。デフォルメも使い所を見極めれば効果的な手法となるのは筆者も理解はしている。

 

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ガングリフォンⅡのイラスト。12式改の頭部や胴体が大きめに描かれる一方、腕がやや短く感じる。よくよく見ると恐竜図鑑で見るティラノサウルスのようなアンバランスなプロポーションに見えるが、力強さを感じさせるために敢えてデフォルメした結果だろう。

 

ただ、それでもやはりHIGH‐MACS系統の機体が旧作よりもカッコ悪く見えてしまっているのはちょっと問題だと思う。それが開発側の意図した結果ならばともかく、カッコ悪く見えてしまうのは必ずしも意図した結果ではないはずだ。

 

これに比べると、初代やⅡのAWGSのモデリングは設定画や三面図に沿ったスマートなもので、苦労してミッションを達成した後に「MISSON CONPLETE」の文字と共に眺める12式はそれ自体が格別のご褒美に思えたものだった。ポリゴンやテクスチャの粗さこそあったものの、その粗さ自体が一種の魅力にもなっていたし、この機体をいつまでも見ていたいと思わせるだけのカッコ良さがあった。

 

が、ブレイズの16式はクリアした後に見てもそこまでご褒美に思えない。旧作とのカメラワークの違いや演出の妙もあるのだろうが、映像的には断然綺麗になっている割にありがたみは余り感じない。

 

これは意外と大事なことで、クリアした後に16式の勇姿を見ても喜べないってのは明らかにゲームとしてのモチベーションを下げてしまう大きな欠点だと思う(そう言いつつ20年近くやっているけど、やっぱり初代の12式を見た時のようなありがたみは少ないんだよなぁ・・・・・・)。

 

仮にブレイズにリプレイモードがあったら何だかんだ見入ってしまう気はするが、どこかで阿鼻叫喚の地獄絵図になってたんじゃないかという気もする。デフォルメの効きすぎた頭でっかちのHIGH‐MACSが走り回り、敵からアイテムが出たり、爆弾が飛び出してきたり、それに引っ掛かって自爆する場面なんて余り見たい気がしない。

 

このデフォルメはステージのスケール感そのものにも言えて、例えばポルタヴァ市街の建物のスケールも何だかんだおかしい。この辺りは我慢出来なくもないし、ゲーム開発上の様々な理由もあったんだろうけど、キエフの建物の縮尺がかなり正確だったことを思うと、やはり色んなところでデフォルメされてしまったということは思うわけである。アイテム制しかり、演出然り。

 

話がズレてしまったが、筆者としては16式のゲーム中のモデリングがもうちょっとカッコ良かったら、ブレイズの受け入れられ方も多少変わったんじゃないだろうかと時々想像してしまうのだ。

 

クレオパトラの鼻があと3センチ短かったら・・・・・・」ならぬ、「16式の股関節があと30㎝ずつ左右に広かったら・・・・・・」と。

 

いや、きっとそんなことくらいじゃ変わらなかっただろうな・・・・・・。

 

 

 

さて、ここまでブレイズのモデリングについて散々悪口を言ってしまったが、ではブレイズのモデリングには一つも良いところはないのかと言うと、そんなことはない。

 

ハード性能の向上もあって画像は大分綺麗になっているし、AWGSの細部もより鮮明に見えるようになったのは大きな進歩だ。新しく実装されたズーム機能などで覗いてみても、脚部の動きや武装の発射アクションに至るまで細かく表現されていて、この点では旧作を遥かに凌いでいる。

 

散々ディスっておいてなんなのだが、実はプレイ中はAWGSのデフォルメ具合もそれほど気にならない(当社比)。というのも、ブレイズはシリーズ中でも取り分けてゲームスピードが早いために敵AWGSの姿をマジマジと眺める場面はそう多くはないからだ。ズーム機能で覗き込む場面こそ多くなってはいるものの、基本的にゆっくり眺めるようなゲームではないため、いちいちプロポーションを気にしている暇などない場合がほとんだ。

 

高速で動くストゥームパンターなどは特にそうで、ギリシャステージの流れるような展開の早さも相まって敵を確認と同時に攻撃するのが関の山で、ゆっくり眺めている場面などほとんどない。むしろ、デフォルメされた車体の重量感も相まって高速機動するパンターのマッシブなフォルムが強く印象に残る。

 

これはどういうことかというと、実はブレイズのAWGSは「動いている時はかなりカッコ良く見える」ということなのだと思う。静止画や兵器図鑑などでじっくり見ているとデフォルメされたプロポーションがどうしても気になってしまうが、戦場で動いているAWGSを見るとそこまでカッコ悪くは見えない。

 

それはSUPERAUTRUCHEやストゥームティーガー、M16A1といった他の機体にも言える。ブレイズで初登場したフォルクスパンターも兵器図鑑などで見ると正直そこまでカッコ良く見えないのだが、ポルタヴァの街を疾駆する姿は不思議と悪くない。いや、むしろカッコ良いくらいだ。

 

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ブレイズのウクライナステージに登場するフォルクスパンター。オリジナルより装甲は脆いものの、その高速機動でプレイヤーを翻弄する。

 

実際、ブレイズのAWGS達はいずれも良く動く。手を振り足を振り、空を飛び、坂道をグングン登る、降る。それらの動作は時にコミカルに見えることもしばしばだが、とにかく良く動く。 AWGSの歩行パターンについては初代の頃からこだわられていた部分ではあったが、映像が鮮明になったブレイズでは特にしっかりと作り込まれていて、バリエーション豊かなAWGS達の個性を更に際立たせている。

 

これに比べると初代のAWGSはプロポーションこそ良かったものの、全体的にスピードが遅く、特に歩行速度の圧倒的な遅さなどから全体に地味な印象が強かった。Ⅱではこれを改良して中々の高速化を果たしていたが、ブレイズのAWGSは更に存在感が増し、個々のAWGSにより表情が出たということが出来るのかも知れない(その結果、少々コミカルに思える場面が増え、兵器らしさが薄れたと感じる部分が多いのも事実だが)。 恐らく、ブレイズのAWGSは動いている時に最もカッコ良く見えるはずだ。

 

ブレイズという作品は不思議な作品で、その見た目だけを見るとアイテム制やデフォルメされたモデリングに不満も出てくるが、「実際にプレイしてみるとそこまで悪くない」と感じる部分が多い。アイテム制もAWGSのデフォルメも、実際にプレイしてい見ると利点も多く、不思議とカッコ良く見えるのに気づく。

 

そういう意味では、ブレイズという作品はシリーズが培ってきたリアルな雰囲気や設定よりも、プレイした時の面白さやゲームとしての効果を最大限に追求した、実にゲームらしいゲームと言えるのかも知れない。

  

最後になるが、ゲーム中の16式のカッコ良いポイントを一つだけ挙げておこう。良いところも上げておかなければ不公平というものだ。

 

16式のカッコ良いポイント、それは兵器図鑑中の16式を眺めている時に時折取ってくれる、立膝をついた狙撃ポーズである。このポーズだけはかなりカッコ良くて、もしリプレイモードが搭載されていたら相当に映えるポージングだったなと思っているのだが、興味のある方は是非ブレイズの兵器図鑑で確認してもらいたい(「二足歩行兵器がわざわざ立膝をついて狙撃するのは変だ」とかツッコンじゃいけないぞ!絶対だぞ!)。

 

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ブレイズのイラスト。筆者が知っている限り最高にかっこいい16式の姿だ。