ガングリフォン・ムック(仮)

名作ゲーム、ガングリフォンシリーズについて考察するブログです。他のゲームも時々語ります。更新不定期。

ノボシビルスクの鉄塔、アウジラの電線

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今回は短いので安心して下さい。ほんの8万字ですよ?

 

嘘です8000字です(十分なげーじゃねーか)。

 

実は先月でこのブログを始めてからかれこれ一年が経っていた。と言っても、立ち上げてからかなりの期間放置していたので実質稼働時間は半年にも満たないわけだが、3月に上げたブレイズの考察記事は書き上げるまでにほぼ半年くらいの時間が掛かっているので、結局一年くらいは何かしら書いていたということになる。

 

この間、個々の記事を書くためにまたシリーズを一からプレイし直し、個々の作品の魅力を再確認する時間を設けることが出来たのはそれだけでも嬉しいことだった。

 

このブログではこれまで主にブレイズを中心に考察してきたが、それは初代やⅡがダメだとか、ブレイズが最高傑作だと言いたいからではなくて(ゲーム部分についてはそうも思うところもあるが)、ブレイズを引き合いに出すと他のシリーズについても語り易いということが理由の一つとしてあった。

 

ガングリフォンというタイトルは、個々の作品について個別に語るよりも、実は三作まとめて比較しつつ語った方が理解し易い。特に、一般に「これはガングリではない」と言われるブレイズについて語ることは、では逆に「ガングリとは何か?」という問いに迫る一番の近道でもあると書いている内に段々分かってきた。

 

SSとPS2というハード性能に起因する視認距離の問題に始まって補給の形態、挙動の変更、攻撃ボーナスの仕様変更、よりダイナミックになったステージ構成とゲーム空間の大幅な進化と、あらゆる面が旧作から劇的に変わったブレイズについて考えることは、同時に初代やⅡについて考えることでもあったわけだ(その結果6万字を超える読みにくいものになってしまったのは反省点だが・・・・・・)。

 

そんなわけで筆者は記事を書くにあたってシリーズを一からプレイし直し、特に初代についてはソフトが見つからなかったのでわざわざ買い直して重点的にやりこんだ。

 

もっとも、初代だって散々プレイしてステージ構成は頭の中にインプットされていたし、操縦感覚も体に染みついてはいた。初代特有の挙動の軽さや細々とした敵の配置、増援のタイミング、攻略法まで大体覚えていたから、最初は買うまでしなくてもよいかなと思っていたのだが、記憶だけで語ると色々間違いを起こしそうだという予感もあって買い直すことにした。

 

果せるかな予感はものの見事に的中した。記憶から完全に抜け落ちていたり、全く覚えていなかったことも結構あった。いや、それどころか以前には気付かなかったような新しい発見がわんさか出てきた。やっぱり実際にプレイしてみないと分からないことは思いの外多かった。

 

そんなこんなで初代のHARDモードを数年ぶりに何周かしたわけだが、やはり初代は面白い。特にHARDモードが自分の考えていた以上に厳しめの難易度で、自機も結構あっさりやられる場面が多発したのは意外だった。ブレイズのHELLモードを散々やり込んだ後だったので、初代やⅡはもうちょいヌル目じゃなかったかという筆者のガバガバの記憶はものの見事に吹き飛ばされた。

 

特に苦戦したのはタートンで、「連雲港までは肩慣らし」とタカを括っていた筆者の自信を粉々に粉砕してくれた。地上から接近してくるエレファントに迂闊に近づいて、即死する状況が多発したのだ。エジプトのエレファントほど怖くはないだろうと思った自分が馬鹿だった。その圧倒的威力と発射間隔で回避する間もなく撃破され、正に鉄拳制裁を喰らった気分になった。

 

なんてこった。初代のエレファントも十分極悪ではないか。多分、筆者はここで10回くらい死んだと思う。タートンは筆者にとって思わぬダークホース、もといダークエレファントであった(全然ウマくないゾウ?*1)。

 

逆に連雲港は恐怖の記憶が染みついていたせいか、案外あっさりクリア出来てしまった。多分、2回目ですんなりいけたんじゃないだろうか。過去に散々苦しめられたステージだからこそ、対処方法は体に染みついている。蟹、ADATS、VW‐1、全部まとめて鍋に突っ込んで調理してやった。百戦錬磨の筆者の冴えわたる操縦技術を以てすれば、海兵隊の一個師団程度の戦力恐るるに足らずである。

 

いや、嘘です。最後のVW‐1は怖くて近づけず、建物の後ろで隠れてました。ついでに次のウェイファンでボコボコにされて20回くらいリトライしました。許して下さい。

 

 

 

さて、こんな感じで初代を遊んでいて、筆者が一際楽しんだステージが他にもある。

 

それは三面のノボシビルスクである。

 

 

勿論、他のステージ同様にノボシビルスクのことは十分に覚えていた。ホワイトアウトした雪中での戦いという設定の上に、ラストに走ってくるシベリア鉄道インパクトも強くて印象には残っていたのだが、なぜか昔より自分の胸の中にすとんと落ちる、中々良いステージではないかと思うようになった。

 

どうしてそう思ったのか考えてみたのだが、その理由の一つはやはりシリーズの中におけるこのステージの特殊性にあると思う。

 

ご存じのように、ノボシビルスクは強い吹雪と深い森に閉ざされたステージで、プレイヤーは視界と移動(ローラーダッシュ)の双方に相当な制限を受けた環境下での戦いを余儀なくされる。加えて森の存在がレーダー機能を阻害するために敵の位置が大変に掴み辛く、森に隠れた伏兵に突如攻撃されるなんてことが往々にして起こる、非常に嫌らしいステージ構成になっている。言ってみれば、プレイヤーの情報・行動に数々の縛りを掛けた上に罠満載で送る「情報・行動制限型ステージ」ないし「トラップ型ステージ」とでも言えるだろうか。

 

考えてみると、このようなプレイヤー側に情報や移動の制限を設けるステージはシリーズの中でも極めて珍しいと言える。恐らく、初代とⅡに限って言えば、このようなプレイヤー側に強い制限を設けたステージは同じ初代のタートン(スタートから補給を受けるまではジャンプが出来ない)やチーナン(足場が狭く、視界も霧で塞がれている)、シナリオモードではないがN氏の挙げたリレハンメルくらいしかないのではないか。*2

 

すでに過去の記事でも見て来たように、このような強い制限を設けた理由はゲームが単調にならないための工夫であったと思う。実際、初代やⅡはなまじレーダーがあるために敵の位置がたちどころに分かってしまうため、「レーダーばかり見て」何も考えずに敵を撃破する単調なプレイになることもあった。

 

これを避けるために敢えて森によってレーダーを封じ、吹雪で視界を封じ、移動にも制限を掛けることでプレイヤーに考えることを促す。これはプレイヤーがより楽しめるようにする工夫でもあったと思う。

 

プレイヤーは暗視装置やジャンプといった機能を使い、深い森の中から自らの肉眼で敵を探し出す、正に有視界戦闘を求められる。このレーダーに頼らない「索敵」という行為がゲームプレイの一部となったところにこそ、ノボシビルスクというステージの面白さの根源はある。

 

これがブレイズになるとレーダーそのものがなくなり、言ってみれば全てのステージがノボシビルスク化したとも言える状況になるわけだが、それはここでフューチャーされた「索敵」という要素が見事に昇華された結果でもあるだろう。ブレイズにおいてレーダーの代わりに採用された質量センサーは多くのプレイヤーの不評を買ったが、実はその根源は初代のノボシビルスクにおいてすでに試みられていたわけで、ブレイズになっていきなり実装されたものではない可能性が大きい。

 

恐らく、レーダーの廃止はかなり考えられた末の熟慮の結果だったと思う。でなければ、このようなゲームの根本に関わる大きな判断は中々下せるものではない。そしてレーダーが廃止された別の理由は、それをなくしても良い環境が整ったということが大きかったと言える。

 

これも以前の記事で触れたことではあるが、PS2というハードの性能によって視認距離の問題が解決されたことと(SS時代の初代やⅡではハード性能の関係で遠くの敵まで描画出来ず、結果的に視認距離・交戦距離共にかなり短かった)、遠距離まで見通せるズーム機能の搭載によってプレイヤー自らの肉眼で敵の位置を捉えることが可能になったため、レーダーを廃止しても問題ない環境が整ったのだと思う。

 

この辺りのことは過去記事にまとめているので興味があったら別途読んで頂きたいが、いずれにせよノボシビルスクというステージはブレイズにおける変革の発端となった極めて重要なステージの一つであったと言うことが出来るのではないかと思う。

 

sitri.hatenablog.com

 

さて、そんなノボシビルスクをプレイしていて気付いたことは他にもあった。

 

それはこの視認距離の問題とも大いに関わるのだが、 実はこのステージは旧作の中でも視認距離に大きな問題を感じないステージだということだ。

 

どういうことかと言うと、「強い吹雪で遠くまで見渡せない」という気象条件ゆえに、逆に「遠くまで見えないのが不自然ではない」という状況が生まれており、「視認距離の問題を感じにくくなっている」ということだ。

 

 

 

「何を言っているんだこいつは?」という声がどこかから聞こえてきそうである。

 

 

 

というわけで、「旧作ってそんなに視認距離に問題あった?あんま感じなかったけど?」という人のために分かり易い画像を見つけてきたので見てもらいたい。

 

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これは初代のキエフの画像であるが、ある一定距離から建物のグラフィックが表示されていないのが分かると思う。レーダーの配置から見ても恐らくこの先には市街地があり、敵も存在するのだが、表示されていないのだ。

 

そしてその割に遠くの都市の遠景のようなものだけは見えているのは、あれが書き割りの背景だからだ。つまり、背景の都市の遠景と手前の建物は見えるのに、その間に立ち並ぶであろう建築物は一切表示されていないのだ。ここに、視認距離の問題からくる奇妙な違和感が生まれている。

 

これは別の画像を見るとより良く分かると思う。次の画像は夕方の比較的明るい連雲港である。ターゲットマーカーを見ると分かるが、プレイヤー機の前方に複数の敵が展開しているのが分かると思う。しかし、実際にモニターに表示されているのは一両の車両のみで、ほかの車両は確認出来ない。レーダーを見ると映っている車両のすぐ後ろにもう一両(或いは一機)の敵がいるはずなのに、モニターには映っていない。この辺りのラインがやはり表示距離(或いは描画距離?)の限界だということなのだろう。

 

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しかし、視認距離の問題を筆者がもっとも強く感じるのは実はⅡのアウジラだ。このステージは見渡す限りの砂漠で、マップ中央を貫いて走る一本の幹線道路に沿って敷設された電線路とそれを支える鉄塔くらいしか構造物のない、極めてシンプルなステージだ。

 

下の画像を見てもらえば分かるように、起伏らしい起伏も木々も全く存在せず、見通しもかなり良いように感じられる。しかし、左下のレーダー画面を見ると分かるように、レーダー上には多数の敵が映し出されているのに、モニター上では一機のバリアントしか表示されていない。これを見ると、初代とⅡの敵の表示距離にはほぼ差がないことが分かると思う。

 

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しかし、アウジラの場合はこの問題がより深刻になる。というのも、なまじ周囲が見渡す限りの砂漠なのでプレイヤーは当然、遠くまで見渡せると考えてしまうのだが、実際にプレイしてみるとそこまで見渡せないので違和感を覚えてしまうのだ。

 

先のキエフのように建物が林立している市街地では、実は敵が中々表示されなくても違和感を覚えることは少なかった。何せそこいら中に建物があるのでジャンプでもしない限り見通しが極端に悪く、ほとんどの敵がその建物の陰にいるため、仮に敵が表示されていなくてもそもそも見えなかったのだ。しかし、視界を遮るものとてほとんどない砂漠ではこのようなことは起こらないため、逆に敵が突然現れたように感じられてしまうことが多発するわけだ。

 

更にこの印象を助長するのが電線路の存在である。マップ中央部に存在する複数の鉄塔には数本の送電線が走っていて、これもゲーム中ではきっちり表示されている。しかし、表示距離の限界で途中、途中で不自然に途切れて表示されてしまっていて、これが表示距離の限界をかなり正確に反映してしまっている。

 

この電線については画像が見つけられなかったので気になった方は実際にプレイして確認してもらえるとありがたいが、この電線の存在は旧作における視認距離の問題を象徴するものになってしまっていると筆者は思う。

 

*後日ネット上で画像を見つけた。少し小さいが、右手の鉄塔から伸びた送電線が途中で不自然に途切れているのが分かると思う。これが旧作における視認距離の問題、表示距離の問題の一つの象徴だと思うのである。

 

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Ⅱのアウジラ。右手の鉄塔とそこから伸びる送電線が見えるだろうか。左手は僚機の12式。

 
とは言え、初代やⅡだけをプレイしている分にはこの視認距離の問題は気づきにくいというのも確かだ。レーダーが存在するお陰でプレイする上で支障を感じることはそれほどないし、そもそもその視認距離に慣れてしまっていて違和感を覚えることは少ないかも知れない。

 

が、ハードをPS2に移行して遠くまで見渡せるようになったブレイズをプレイした後だと、この視認距離の問題はかなり大きく感じられてくる。

 

実際にブレイズ・ウクライナステージの画像を見てみよう。遠くの風景は霞が掛かっているが、教会やその先の丘まできっちり表示されているの分かると思う。ちなみに、右側に見える丘のスカイラインも書き割りの背景ではなく、ステージの一部である。戦闘エリアの見えない壁があるので進入こそ出来ないものの、射撃の弾丸はきっちり着弾するので、実際のステージはプレイヤーが思う以上の広がりがあるわけだ。

 

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この画像では敵が確認出来ないものの、敵の表示距離も当然伸びているので、相当遠くでも確認することが出来る。これならばレーダーがなくてもゲームは成立するし、実際、ブレイズでレーダーが廃止されたのはこの視認距離の問題が解決されたからこそだろう。

 

さて、これらのことを踏まえた上で改めてノボシビルスクの画像を見て頂きたい。改竄の余地のないように画像ファイルに収録してあります。お祖母ちゃんに買うてもらったノートパソコンの脅威って奴ですな。

 

分かりますか?

 

・・・・・・分からない?

 

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これでどうです?左下の小窓がレーダー画面。そして右が中国軍の13式装甲歩行車。よく御覧なさい。真ん中がホワイトアウトしたノボシビルスクの風景。そしてこれはZoffで買った安手の眼鏡ですが、これを掛けてても全く何も見えない。そしてここからが本題ですが、暗視装置を使わないと何も見えない。

 

 

 

「お前は何を言っているんだ?」というツッコミが入りそうであるが、もう少し我慢して聞いて頂きたい。

 

次は同じノボシビルスクで暗視装置を使った際の画像を見てもらいたい。

 

 

 

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分かりますか?左にあるのは鉄塔。右にあるのも鉄塔。よく御覧なさい。真ん中が森の中を歩いてくるドイツ軍のパンター。そしてこれは、ごく最近使い方を覚えた暗視装置使用時のモニター画面。そしてここからが本題ですが、暗視装置を使っても周囲の風景はほとんど見えない。

 

 

 

 

 

「お前は何を言っているんだ?」

 

 

 

 

 

分かり易く結論から言ってしまおう。

 

つまり、「ノボシビルスクは吹雪という気象条件を敢えて設定することで視界の有効範囲を落としつつ、ステージ全域に森を配置して見通しを悪くすることで、逆に視認距離や表示距離の問題を感じにくくさせているのではないか?」ということだ。

 

それを補う為に暗視装置を使うと敵が見つけやすくなるが、周囲の風景が見えにくくなる分、こちらも突然敵が現れることに違和感が余り生じない。つまり、どちらの場合でも「敵や風景が視認しにくいことに違和感を覚えにくい」のだ。

 

これが視認距離の短さ、表示距離の限界というものを敢えて逆手に取った巧妙な演出だったのかどうかは定かではない。実際に開発サイドにそういう考えがあったのかも知る手立てはないが、いずれにせよこのノボシビルスクは旧作特有の視認距離や表示距離の問題を免れているように感じられる。

 

ハード性能の限界に起因する視認距離や表示距離の問題を、「吹雪」という気象条件によって緩和しつつ、「森」や「暗視装置」という道具立てを使った巧妙な演出の内に回収する。一面砂漠のアウジラと違って、吹雪も強く、見通しも悪いノボシビルスクで「遠くの敵が見えないこと」、「敵が表示されないこと」は余りにも自然なことに思えるのだ。

 

「人生どん底に落ちたらもっと掘れ」とはイタリアの諺らしいが、ノボシビルスクは「見えなかったら更に見えなくしてやろう」という逆転の発想で視認距離や表示距離の問題を解決しているのではないかと、筆者はそう思ったのだ。

 

そしてこのことを補強する証拠になり得るかも知れない存在が、ノボシビルスクに点在する数本の鉄塔である。

 

 

これも解説が必要だと思うので、再び同じ画像を使って説明してみよう。改竄の余地のないようにこのブログ内の画像ファイルに収録してあります。超がつくPC音痴にも使いこなせるはてなブログの優しさって奴ですな。

 

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分かりますか?左が鉄塔。右も鉄塔。よく御覧なさい。真ん中が森の中を歩いてくるドイツ軍のパンター。そしてこれは、ごく最近使い方を覚えた暗視装置使用時のモニター画面。そしてここからが本題ですが、二つの鉄塔の間には送電線が存在しない。表示されていないのではなく、存在しないのだ。

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

つまり、先のアウジラの表示距離問題を助長させていた送電線という存在が、ノボシビルスクにはない。そしてこれによってより視認距離、表示距離の限界を感じにくくなっているのではないかというのが筆者の考えだ。

 

仮にこのノボシビルスクの鉄塔に送電線が走っていたらどうだろう?

 

恐らく、アウジラのように途中、途中で不自然な途切れ方をし、その表示距離の限界を余計にプレイヤーに感じさせることになった筈である。しかし、既に放棄されて久しいのか、このノボシビルスクの鉄塔には送電線が存在しないために、この問題が発生していないわけである。

 

 

 

もっとも、これが本当に送電線を走らせるための鉄塔なのかと聞かれると少し疑問の残るところではある。もしかしたら、レーダーとかパラボラの基底部、或いはもっと別の構造物ということもあり得るのかも知れない。

 

ただ、仮にそうであってもそれは問題ではないだろう。この鉄塔が何のために設置されたものであるにせよ、それがアウジラの電線のように視認距離の問題を助長する働きをしていないという事実に変わりはない。

 

まぁ、ここまで来ると正直考え過ぎのような気もするし、どれだけ当たっているのかは正直余り自信はないのだが、あれだけこだわりを持って作られた初代であるから、案外そういうところまで考えて作ってあるのかも知れないなぁと思った次第である・・・・・・(小声)。

 

 

 

とまあ色々書いてきたが、やはりノボシビルスクは良いステージだと思う。今回見たような視認距離の問題を「吹雪」や「森」という気象条件や地勢条件で減じつつ、ゲームとしての面白さにも繋げている辺り、「ガングリらしい」ステージだなと思ってしまう。

 

ステージの難易度もほどほど高く、むしろ序盤としては高めなくらいかも知れないが、その辺りのバランスも含めて中々良い。思わぬ敵の伏兵に注意しつつ、破壊目標の到着まで待つというステージ構成もそれまでの攻撃一辺倒のステージとは一線を画していて、良く練られたパズルでも組み立てるように頭を使うステージの一つではないだろうか。

 

今回は触れなかったが、ステージ中盤に登場するホーカムに空中からRPをばら撒かれて即死したのも良い思い出だ。ブレイズのHELLモードも相当だと思っていたけど、初代のHARDモードのヘリも中々凶悪である。

 

ステージ各所の森に隠れたツングースカや吹雪の中に佇むルクレールも中々に厄介な存在だし、或いは、ステージ後半に増援として初登場するAUTRUCHEの攻撃の激しさは、シリーズ最強のAUTRUCHEと言っても過言ではないかも知れない。雪の中から突如現れる逆関節型の異形のAWGSの姿は、『スターウォーズ帝国の復讐』の冒頭に出てきたAT‐ATの如く忘れられない印象を残す筈である。

 

そして満を持して現れる「動く破壊目標」ことシベリア鉄道の勇姿。これはシリーズを通して最も破壊しがいのある破壊目標の一つではなかろうか。筆者はシベリア鉄道が走ってくる度に胸が高鳴る(そして笑顔で空からRPをばら撒く)。

 

BGMもステージの雰囲気に合わせた抑え目の曲調で、視界やレーダー、移動に制限を掛けられた状況下での戦いを強いられる緊張感、焦燥感を静かに盛り上げてくれる。

 

このようにノボシビルスクは欠点らしい欠点が見当たらない、良ステージだと筆者は思う。そしてもしかしたら、シリーズで最もミリタリーテイストを感じさせてくれるステージの一つだったのかも知れないと、そう思ったりもする。

 

 

 

 

 

脚注

*1:逝ってよし!

*2:ヴォストリーチナヤァ・リツァやバレンツのように滑る氷の床面というステージもあるが。