ガングリフォン・ムック(仮)

名作ゲーム、ガングリフォンシリーズについて考察するブログです。他のゲームも時々語ります。更新不定期。

最も実用的なAWGSとは何か?

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「AWGSは本当に実用的な兵器なのか?」これはガングリフォンという作品を語る上で誰もが一度は考えたことのある問いだろう。徹底してリアルであることにこだわったこの作品の最大の虚構、AWGS。 開発者ですらその実用性に疑問を持つこロボット兵器が仮に実在したとしたら、本物の戦場で活躍出来るのか?今回はこの辺りのことを考えながら、実用的なAWGSとは何かを検証していきたいと思う。

 

 

 

そもそもAWGSとはどういう兵器なのか? 

 

岡田氏の考える最も実用的なAWGS

さて、のっけから何だが、この「最も実用的なAWGSは何か?」という問いには有名な公式の答えが存在する。それはガングリフォン・コンプリートファイルの巻末に掲載されているスタッフへのインタビュー内での、宮路武氏と岡田厚利氏の次の発言の中にある。

 

ーということは、HIGH-MACS以前の第一世代のAWGSに乗っていたパイロットは、相当苦労していたのでは・・・・・・。

宮路:そうですね。基本的に奇襲用の兵器ですからね。山を登ったり、海から出てきたりとか。 

岡田:あの世界に出てくる兵器で一番実用的なのはアメリ海兵隊が使っているM15A1なんですよ。海兵隊はまず上陸できる地点を選ばなくてはならない。しかし、脚が付いているロボットならば場所を選ばずに上陸ができる。そうすると飛躍的に行動範囲が広がるため、抜群に奇襲効果が上がるわけです。実用的に考えられるのはあの機体くらいですね。

 

アメリカが開発した史上初の多脚型AWGS、M15ランドクラブ。その海兵隊バージョンであるM15A1こそ最も実用的なAWGSであり、他は余り役に立たないだろうというのが岡田氏をはじめとしたスタッフの見解であるらしい。うーん、中々に厳しい見解である。

 

とは言え、この宮路氏と岡田氏の発言を読むと、AWGSという兵器のあるべき姿が見えてくると思う。その端緒として岡田氏と宮路氏の見解をまとめると、次のようになる。

 

  • AWGSは基本的に奇襲用の兵器。
  • 脚部歩行に起因する行動範囲の広さとそれを活かした奇襲効果が売りの兵器。

 

つまり、AWGSとはその脚部歩行による高い不整地踏破性能を以て通常の車両では進入出来ない地形を突破し、敵の思いもよらぬ方向から奇襲をかけるための兵器と言って良いと思う。装甲、火力、機動性、被弾投影面積、コスト、整備性、あらゆる面で現実の戦車やもしかしたら装甲車にすら劣るであろうAWGSという兵器に活用の道があるとしたら、確かにここ以外にはなさそうだ。

 

そしてそれを達成する上で最も重要な性能とは、やはり「不整地踏破性能」であると考えられる。この点が従来の兵器では代行出来ない、AWGSの兵器としての最大のウリなのだろう。今回はこの考えに立って検証を進め、筆者が「実用的」と思うAWGSを選んでみた。

 

まず、同じインタビュー内での宮路氏の「(山道など傾斜のついた道を)2脚で登っていくことは、実際には到底不可能でしょう」という発言を根拠に、二脚型の多くは除外した。二脚型は不整地踏破性能で多脚型に劣り、またその車高の高さから被弾投影面積も大きくなりがちなので、現実的に運用するのはかなり厳しいと判断したためである。

 

また、N氏も過去にそのブログで「AWGSは転倒すると起き上がれない可能性が高い」と指摘されていた。二脚型は特に怪しいので、必然的に倒れることが比較的少ないと思われる多脚型が有利に思われたのもこの判断の理由だ(もっとも、N氏も言うようにこの辺りを疑い始めると何も成立しなくなってしまうのだが)。

 

HIGH-MACSや第二世代AWGSはスペック通りの性能を発揮するなら相当強力だとは思うが、車高の高さは変わらないのと、やはり少々オーバ―テクノロジ―気味なところがあるのでこれも今回は除外した。ただ、ゲーム中のような三次元機動が実際に出来るならばその不整地踏破性は最高点をマークするし、「奇襲用の兵器」としての要件は十分過ぎるくらいに満たしていると言える。

 

ということで、選んだ機体は主に多脚型から選定することになった。その上で、改めて不整地踏破性能の高さや「兵器としての実用性」を基準に検証すると、M15以外にも実用的なAWGSが五機種ほど浮かび上がった。以下にランキング形式でまとめたので、順々に見て行こう。

 

 

 

ガングリフォン・ムック(仮)取材班が勝手に選ぶ実用性のあるAWGSベスト5

 

5位:14式装甲歩行車
  • 武装:M198・155m榴弾砲(39口径)
  • 装甲:装甲鋼板の全溶接構造。
  • 機動性:最低(高速走行は考えられていないため)
  • 不整地踏破性:中
  • 被弾投影面積:大
  • 登場ステージ:ウランバートル、ジャルタイなど

 

意外にも実用性がありそうなAWGSのトップバッターは中国の14式である。14式は中国がベトナムカンボジアとの国境地帯に広がるジャングルでの対ゲリラ攻撃用として開発したAWGSで、榴弾砲による火力支援を主とした自走砲的な運用が想定される。このため、近距離戦では他機種のAWGSや戦車の相手にならないだろうが、敵の脅威からかなり離れた地点での自走砲的運用がメインである以上、それは致命的なデメリットにはならない。

 

むしろ、通常の自走砲では進入不可能なジャングルや不整地で強力な火力支援が可能になることにはメリットも多いように感じられる。流石に機動性が低いので侵攻作戦には向かない気がするし(カッタラ窪地での戦いではその問題が露呈した)、「奇襲用」というAWGS本来の用途からは外れるかも知れないが、こと国内の防衛用や本来の任務であるゲリラ攻撃用としては多分に威力を発揮するのではないか。

 

もっとも、それだけのために開発する必要があるのかと言われれば頭を捻るところであるが、現存する車両では替えられない利点を持つという部分を評価した。また、デッドコピー品ということもあり、AWGSの中では比較的コストが低そうな点も評価したいポイントだ。どれだけ高性能な兵器でも、数が揃えられないのではお話にならない。「兵は拙速を尊ぶ」である。

 

4位:ティーガー、10式装甲歩行戦闘車

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左がティーガー。右がM19ブルタールクラブ。
  • 武装:140㎜低反動滑腔砲
  • 装甲:不明(40t以上の重量はあるため、AWGSとしてはかなり厚いと想定される)
  • 機動性:低(通常の装甲車両などと比べると低い)
  • 不整地踏破性:最高(AWGSの中でも取り分けて高い)
  • 被弾投影面積:中(車高は低いものの、脚部が飛び出しているため)
  • 登場ステージ:キエフノボシビルスク、カッタラ窪地、ギリシャなど

 

実用的と思われるAWGSの二番手はドイツのティーガーである。ティーガーの特徴はその信頼性の高い戦闘部とエンジン部を連結器で接続するシステムであり、それによって他のAWGSを圧倒的に凌ぐ高い不整地踏破性を誇るとされる。この点で言うと、ティーガーはAWGSという兵器のそもそものコンセプトに見事に合致した兵器であり、その意味では最もAWGSらしいAWGSと言えるかも知れない。

 

その被弾投影面積の高さから、流石に平野部での撃ち合いでは戦車に負けそうなため、主力にはならないだろうが、不整地での運用という部分で言えば色々な用途に耐えそうな兵器である。従来の兵器に比べても活動範囲が広がることなどを考慮して、実用性があると評価したい。

 

ちなみに、ストゥームティーガーは基本的に不整地踏破性が高くないと思われるためため、このランキングでは対象外とした。平野部での高速機動は中々のスピードだが、戦車の二倍以上ある車高の高さはやはりネックだろう。

 

3位:コラート
  • 武装:紅竜ⅡKEM連装ランチャー×4(?)
  • 装甲:スペースドアーマーを取り入れた圧延防弾鋼板の全溶接構造。
  • 機動性:中(AWGSとしては平均的)
  • 不整地踏破性:高い(ジャングルでの運用に限った評価)
  • 被弾投影面積:中
  • 登場ステージ:タートン、バレンツ(!)、チベットなど

 

二脚型AWGSの中では唯一エントリーしたタイ製のAWGS、コラート。油圧式のパワーのある腕でジャングルの木々を薙ぎ倒しながら進めるという、従来の車両にはないオンリーワンの特徴を持っていることを評価した。

 

こちらも平野部での戦闘などでは戦車などに太刀打ち出来ないだろうが、ジャングルという特殊な環境下に限れば使い出はあると思われる。 ジャングルを切り開いて敵の予想もしない方向から進出することも出来るだろうから、奇襲効果も抜群だろう。味方部隊の進路を啓開するなど、部隊の行動を支援する役割も期待出来そうである。

 

ただ、トップヘビーの問題でKEMしか装備がないのが難点と言えば難点か(『ブレイズ』では何か新兵器を片手に持っていたが)。せめて機関砲の類でも搭載すればもう少し運用の幅も広がるだろう。

 

2位:リットリオ

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左がリットリオ。右はエレファント。
  • 武装:120㎜低反動滑腔砲×1、L-KEM×2
  • 装甲:アルミ合金の全溶接構造で、やや脆弱。
  • 機動性:中(多脚型としてはかなり軽く、速い)
  • 不整地踏破性:最高
  • 被弾投影面積:大(脚部が六つもあるため)
  • 登場ステージ:キエフウランバートル、カッタラ窪地、ウクライナなど

 

不整地踏破性能では恐らくティーガーと双璧を成すリットリオ。その不整地踏破性の高さからイタリア軍の山岳部隊に配備された実績もあり、ある意味、AWGSの特徴を最も追求した機体と言える。実際、従来の装甲車両では行動が著しく制限される山岳部や傾斜地でも活動出来るならその用途は非常に広く、実用性は高いように思われる。

 

おまけに、山岳部には第一世代型AWGSの苦手な重量級の戦車などは登ってこれないだろうから、天敵らしい天敵がいないこともリットリオの価値を押し上げる要因だ。

 

ただ、軽量化を図るために装甲がアルミ合金製となっているため、山岳戦の主力となるであろう敵歩兵部隊の携行するRPGや携帯型ATMなどでも簡単に撃破されてしまう可能性がある点と、脚部が六つもあることからくる被弾投影面積の大きさはネックだ。敵から発見される率も断然高くなってくるため、運用する際には味方の歩兵部隊などとの連携が非常に重要になってくるだろう。

 

それでも山岳戦で大口径の砲やKEMを持った兵器の直接支援を受けられるのは、味方の歩兵部隊としては中々心強いのではなかろうか。機動性も多脚型としては高いため、その広い活動範囲を活かして山岳部を迂回しての奇襲なども可能となれば、かなり実用的なAWGSの一つと言えるのではなかろうか。弱点も多いが、利点も多い。「山岳戦」という局面に絞ればかなりの活躍が見込めそうだ。

 

1位:ビットヴァイパー
  • 武装:機銃×1、自機が破壊された時に発動する自爆機能。
  • 装甲:脆弱
  • 機動性:中(サイズを考えればかなり速い)
  • 不整地踏破性:高(サイズを考えればかなり高い)
  • 被弾投影面積:最小(戦車並み)
  • 登場ステージ:エジプト

 

今回の検証で意外なダークホースとなった感があるのがイスラエルが兵力不足を補うために開発した小型AWGS、ビットヴァイパーだ。この機体は他のAWGSに比べて非常にサイズが小さく、せいぜい戦車くらいの車高しかない。自律型のAIで制御された無人機ということもあり、本来の意味でのAWGSとはやや趣を異にする兵器かも知れない。

 

そのサイズ、装甲、武装、いずれをとっても他のAWGSには劣っているため、AWGSの中では間違いなく最弱の部類だろう。しかし、こと兵器として見た場合にはむしろ最も実用的なAWGSの一つに躍り出る可能性を秘めている。

 

サイズの小ささはそのまま被弾投影面積の低さに繋がり、他のAWGSからすれば狙いが付けにくい。また、他のAWGSでは到底進入出来ない地形や天井の低い場所にも入っていけることから、特に都市部での市街戦ではかなりの威力を発揮するだろう。

 

武装は機銃のみで装甲も弱いものの、こと「対人用」と割り切ればむしろ十分だし、何よりも無人機なので兵員の被害を抑えられる点は大きなメリットになるだろう。また、破壊された時には自爆して周囲の敵を巻き込むという厄介な機能も持っているため、相手の歩兵や戦車、装甲車にしてみればかなり戦いにくい相手だ。つまるところ、「機銃を装備した移動型の仕掛け爆弾」と捉えても良いかも知れない。

 

対AWGS戦でも接近して足元にまとわりつけば車高の高い相手には死角になるために反撃されにくく、自爆に巻き込める可能性も高くなる。多くのAWGSは脚部の装甲が薄いことが予想されることから、これはかなり致命的だ。しかも、砂の中に潜行して姿を隠す能力まであるとくれば厄介なことのこの上ない。

 

「敵の嫌がることをやる」、「敵の弱点を徹底的に突く」という戦いの鉄則に照らせば、これほど実用的な兵器もない。イラク戦争で米軍が敵のIED(仕掛け爆弾)に散々苦しめられたことも併せて考えると、「最も凶悪なAWGS」の称号を与えても良いかも知れないくらいだ。

 

そのコストパフォーマンスの高さ(恐らく価格は低いだろう)、無人のために危険な任務でも気楽に投入出来る心理的抵抗の低さ、例え破壊されても周囲に被害を及ぼせる特攻兵器的性質、砂漠のような砂地なら潜行して待ち伏せすることも可能な地雷的(或いは仕掛け爆弾的)性質、どれをとっても兵器向きである。

 

その悪魔的なまでの凶悪な性質は「AWGS界のAK47」とでも言うべきものであり、今回検証していて逆に最も普及させてはいけない兵器なのかも知れないという印象を覚えた。流石は実戦的なことで知られるイスラエル製兵器の面目躍如といったところだが、その実現可能性の高さなども含めて全く以て恐ろしい「兵器」である。

 

少々抵抗は覚えるものの、ガングリフォン・ムック(仮)取材班としてはこのビットヴァイパーをM15A1と並ぶ最も実用的なAWGSの一つとして推したい。最も普及してほしくないもの、最も戦場で出会いたくないもの、それこそ兵器らしい兵器と言えるのではないだろうか。そしてこのビットヴァイパーは、すでに現実の戦場に姿を現しつつあるのかも知れない。

 

 

 

惜しくも選ばれなかったAWGS達

 

ここからは惜しくもランキングから外れた三つのAWGSを紹介する。これは「おまけ」というよりも、取材班がどのような基準で検証したのかを更に詳しく説明するためである。

 

バリアント

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  • 武装:OTTブレダ62口径76㎜砲×1、KDA35㎜連装機関砲×1
  • 装甲:高(材質は不明だが、その形状を見るにAWGSとしては高めと評価した)
  • 機動性:中(AWGSとしては平均的)
  • 不整地踏破性:低
  • 被弾投影面積: 中(12式やパンターよりやや低い程度)
  • 登場ステージ:タートン、アウジラ、シジ・バラーニ、エジプトなど

 

今回のランキングで惜しくも選外となったのがイギリスの開発した二脚型AWGS、バリアントである。その武装や対空用という運用目的などに照らせばかなり実用性があるようにも感じられるのだが、「(山道など傾斜のついた道を)2脚で登っていくことは、実際には到底不可能でしょう」という宮路氏の発言が最後までネックになった。

 

「山岳部などでもグイグイ登っていける対空用兵器」ならば多少車高が高くてもランキングに入れたかも知れないのだが、他ならぬディレクターに「登っていけない」と言われては立つ背がない。武装の組み合わせを見る限り、航空機(特にヘリ)にはかなり有効だと思うのだが、「傾斜の着いた地形に登って行けないなら歩行型であるメリットがない」という点がどうしても足を引っ張った。

 

出典を忘れたのだが、確かバリアントにはヨーロッパに駐留するイギリス軍基地を防衛するという目的もあったと思う。このような基地防衛では或いは威力を発揮するかも知れないが、その場合でも尚のこと「脚はいらないのでは?」という気がするので、ここもポイントを下げる部分だった。

 

BMX-30高射機関砲

 

  • 武装:ZSU-30・30㎜ガトリング砲×1、対空用ミサイル×4
  • 装甲:弱(アルミ合金製の上、リアクティブアーマーも外している)
  • 機動性:中(AWGSとしては平均的)
  • 不整地踏破性:低
  • 被弾投影面積: 小(AWGSの中ではかなり小型な部類)
  • 登場ステージ:グアム、ウクライナなど

 

ロシアが開発した二脚型AWGS、BMX歩行戦闘車を空挺師団の高射部隊向けに改良した対空バージョン。確認されているAWGSの中では唯一レーダーを搭載しているAWGSでもあり、対空能力はバリアントよりも高いと思われる。その射程の長さなども含めると、一見かなり強力そうな機体ではある。

 

が、その本来の用途である「空挺作戦用」という点に限ると、その性能には少々疑問符が付く。空挺師団用ということでその活動範囲を広げる役割が期待されたのかも知れないが、前述のように二脚型の不整地踏破性には重大な疑義が呈されている上に、AWGSとしては小型・軽量とは言え、その車高やサイズは空挺用としてはかなり大きいと言わざるを得ない。

 

正直なところ、An-225ムリヤのような超大型輸送機(或いはIl-76)でないと輸送出来ず、それらを多数配備しないと運用出来ないというのでは空挺作戦向きとはとても言えないし、兵器としても優秀とは言えないだろう。加えて、2S6Mツングースカのようにその任務を代行出来る車両が既に現存し、しかもこちらの方が遥かに小型で空挺作戦向きである上に(実際に出来るかはともかく)、空輸も楽であることを考えると、敢えてBMX-30でなければいけない理由がないようにも思える。

 

ちなみに、気になってツングースカの重量を調べたところ、34t前後とあった。これを基準にすると、車高や体積で遥かに勝っているBMX-30は34t以上ないとおかしい気がするのだが、どうなんだろう・・・・・・?腕はアームだからそんなに重量はなさそうだが・・・・・・。

 

というか、コラートが戦闘重量24t?HIGH-MACSが25t?リットリオが35t?んんん??ツングースカとほぼ同じだと???エ、エレファントは一体何tになるんだ・・・・・・?????

 

何だか昔懐かし空想科学読本の世界になってきてしまったが、AWGSの重量と乙女の体重を問うてはいけないということかも知れない。大変失礼しました。

 

オホン。

 

ともかく、BMX-30を開発するくらいなら既にあるツングースカや他の対空車両を空挺用に改良する方が遥かにコストパフォーマンスが良いという気がしたので、これも選外とした。

 

エレファント

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右がエレファント。
  • 武装:140㎜低反動滑腔砲×1、L-KEM×1
  • 装甲:高(材質は不明だが、AWGSとしてはかなり厚い)
  • 機動性:低(歩幅などを考えれそこそこ速い?)
  • 不整地踏破性:高(一応多脚型なので)
  • 被弾投影面積: 最大(AWGSとしても、兵器としても最大級)
  • 登場ステージ:タートン、アウジラ、カッタラ窪地、エジプトなど

 

南アフリカが開発した超大型AWGS、エレファント。その威圧感溢れる巨体が見る者に与える心理的影響は相当なものがあるが、こと実用性という点で言うと大いに疑問を感じるのは何も筆者だけであるまい。その高過ぎる車高、大きすぎる被弾投影面積、そこからくる被発見率の高さ、そしてその見た目とは裏腹にKEMの直撃には恐らく耐えられないであろう装甲などを考慮すると、正直、エレファントはただのデカい的にしか過ぎないようにも思える。

 

ただし、エレファントの本来の任務である「全ての天候下・地形において単独で索敵、撃滅任務を遂行できる機体として開発された」という記述と、「基本的にはアフリカ大陸で運用することを考えられて設計されている」という一文を見るに、南アフリカ軍の国防ドクトリンや置かれた国情を考慮する必要があるように思う。

 

また、長期間の任務に対応するために「航続距離も非常に長く」、「燃料や水などの必需品を大量に搭載するスペースがある」ことはAWGSとしては例外的な特徴で、総じて搭乗員に優しくないと思われるAWGSの中では評価すべきポイントだろう。

 

また、南アフリカ周辺の国々にはさしたる軍事的脅威がなく、どちらかと言えばゲリラなどとの戦闘がメインであることを考えれば、エレファントは総じて南アフリカの国情には合致した兵器であるとは言えるのかも知れない。

 

ただ、それでもこの機体で「単独で敵陣深く侵攻する」ことは少々リスクが高いように思える。AWGSの脚部は戦車のキャタピラや装輪装甲車の装輪に比べても遥かに複雑なシステムで、定期的な整備やメンテナンスが欠かせないだろう。これらを乗員(何名いいるのか分からないが、せいぜい3、4人が限界だろう)だけで、しかも現地で担うのはその巨体から言ってもまず不可能で、地雷などによる損傷の可能性は常にある(まぁ、エレファントの足底は南アフリカお得意の地雷処理が施されているのかも知れないが)。

 

また、周辺国の戦車とて決して貧弱というほどではないし、遭遇したらエレファントの足では恐らく振り切れない。いや、戦車はまだ良い。返り討ちに出来る可能性も高いから。だが、万一ヘリに遭遇したらろくな対空装備もないので一方的に追い回されるだけだろう。

 

RPGなどを装備したゲリラや歩兵に死角の足元に入り込まれる危険もある。ヴェルナー軍曹に遭遇したら装甲の隙間から手榴弾や地雷を投げ入れられるかも知れない。ネズミが入り込んできたら取っておいたビスケットを齧られるかも知れない。ルーク・スカイウォーカーに遭遇したら腹の辺りによじ登られて、ライトセイバーで切り裂かれるだけだ。おまけにルークは惑星間分身というトンデモ技を使ってくるので、いくら弾丸を撃ち込んでもかすり傷一つ負わない。エレファントには打つ手なしだ!畜生!!

 

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俺は何を言っているんだ・・・・・・?

 

 

 

オホン。

 

ともかく、エレファントを「単独で」運用するのはかなりマズイ。南アフリカ周辺で運用するという条件に限っても、かなりマズイ。やはり単独はやめときましょう。せめてペアとか、対空兵器を装備した装甲車とか、ルーイカットとか、何かしらの援護を付けましょう。 

 

ということで、エレファントの実用性にはやはりそのサイズから言ってもかなり疑問がある。広大なアフリカ大陸で運用することを考慮するなら、やはり足回りはG6ライノ155㎜自走砲のような装輪式の方が整備性にも優れ、何かと便利ではないだろうか。装輪式なら一つ、二つの車輪が破壊されても走り続けられる可能性もあるし(脚部だと一本でも破壊されると即行動不能になる可能性が高い)、修理交換も容易だろう。

 

その武装や全地形を踏破出来るというのは確かに魅力的だが、移動速度などを加味してもやはり装輪式の大型車両の方がメリットは多いのではないだろうか?とは言え、その豪快なスタイルや堅実な作りは実に南アフリカらしい機体で、筆者はかなり好きなAWGSなのではあるが。

 

 

 

他にもいくつかのAWGSを検討したかったが、これだけ見れば取材班がどのような考えに立って検証したかの説明にはなるだろう。今回はこれで検証を終えることとしたい。いや、お疲れさまでした。

 

 

 

まとめ!

 

さて、如何だっただろうか?取材班の乏しいミリタリーの知識とWikipediaを参考に色々検証してみたので(どうだ、参ったか!エヘン)、間違った認識もあるかも知れないが、出来得る限り「実用性」を考慮してみたつもりである。ビットヴァイパーが1位に来たのは取材班としても少々意外であったが、その嫌らしい性質は1位に輝くに相応しいものに思えたので、この結果とした。サイズ的にも実現性の見込みが高く、実用化の目途も立ち易いのではないかというのもこの判断の理由だ。

 

もっとも、これはあくまでもガングリフォン・ムック(仮)取材班が勝手に考えたランキングなので、これ以外の結果が出ても全然おかしくはない。ランキングも便宜上付けただけで、考え方次第ではいくらでもランキングが変動する可能性はある(勿論、今回は漏れた二脚型にもチャンスはある)。取材班よりもミリタリーに詳しい読者諸氏の「これぞ真の実用的なAWGS!」という意見も是非教えてもらえて頂ければ幸いだ。

 

いや、教えてもらわなくても自分の中で「これに決まってるじゃねーか、フフフ」とほくそ笑んだり、「分かってないなぁ、ククク」とニヤニヤして頂くだけでも全然構わない。「フンッ!」と鼻で笑って頂いても結構。ただし、その顔を自撮りして添付して送って来るのだけは勘弁してほしい。

 

では、また別の記事で会おう。最後まで読んでくれてありがとう!アデュー!

 

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無事検証を終え、晴れやかな顔を見せる取材班。ガングリフォン・ムック(仮)取材班は今後も探求心と情熱を忘れず、誠心誠意全力を以て無謀な検証を休みの日にやります。