ガングリフォン・ムック(仮)

名作ゲーム、ガングリフォンシリーズについて考察するブログです。他のゲームも時々語ります。更新不定期。

メモメモ2

・GGBのアイテムの一つに師団マークがあり、取得すると15秒間、敵の攻撃間隔が半分になる効果がある。こうした効果は昔馴染みのシューティングゲーム的な要素があると思うのだが、開発元のゲームアーツシルフィードなどのSTGで名を上げたことを考えると面白い気は以前からしていた。以前どこかで「ガングリは実際は見下し型のSTGに近い」という指摘を見たことがあるが、分かるような気がする指摘だ。

・こうしたことをツイで呟いたところ、初代のRPを例にとってあれは縦シューで言うところのボムに近いという指摘を頂いた。ゲーム中のRPは実際のRPとはやや異なるが、それは多分に意図されたもので、当時はまだ馴染みのなかったFPSをプレイし易くするために、馴染み深い縦シューの要素を取り入れたのではないかというのだ。勿論、開発側の意図は想像するしかないわけだが、上記のことなどと合わせて考えると納得の行く説明で、頷ける。総合して、やはりガングリにはSTGから引っ張って来た要素が多いと考えるのは合理的な見方のように思う。

・合わせて初代とGGBの差はシミュレーター寄りかゲーム寄りかの差ではなく、記号的表現の違いであろうという指摘も頂いた。あれほどリアルを謳われた初代でさえ、ゲーム的な文法の上に乗っているのであると。筆者もこれに同意する。これに対する答えとしてはズレるかも知れないが、筆者自身はGGBは単にシリーズの続編であるということを超えて、初代でやりたかったことのいくつかを実現しさえしているかなり正統派の作品だったと考えているので、初代でさえゲーム的文法に則っているという言葉には納得しかない。筆者の理解力不足のために当日は中々話が噛み合わなかった可能性があるのだが、伏してお詫びします。ごめんなさいっ!(ジャンピング土下座)

・これに関連して言うと、筆者は相当頭悪い(皆知ってた)

・これに関連して言うと(↑じゃないよ?)、例えば作戦失敗画面(コンティニュー画面)におけるカウントダウンや(Ⅱ以降なくなった)、ハイスコアを達成した場合にプレイヤーのイニシャルを入れたりする仕様(Ⅱまで存在)にも昔ながらのゲームっぽさ、もっと言ってアーケード由来のものを感じる時がある。アーケードからの移植が多い格闘ゲームなどではまだ残っているこれらの仕様であるが、家庭用向けに開発された大半のゲームからは消え去り、代わりに最初からプレイヤーの名前を登録してプレイヤーデータとして一括管理したり、カウントダウン自体を排除したゲームが多くなった。PS2にハードを移したGGBもプレイヤーデータを作成する方式に切り替わり、ステージの最高得点だけでなく、敵兵器の総撃破数などが累積データとして示されるようになった。こうしたデータを累積して示す辺りはRPG的と言って良いかも知れない。勿論、一時期のRPG人気を経てその要素は幅広いジャンルのゲームに文法として組み込まれたので(レベル制など)、それ自体は特段珍しいことではない。が、初代の時点でカウントダウンやイニシャルを入れる仕様が存在したことは、初代でさえゲーム的文法に則っているという前記の指摘を補強するのではないかと思う。

・このRPGというワードに関連して言うと、GGBはRPG味を感じる要素が多い気もする。それは例えば広大化したフィールドや自由度が大幅に増したルート選択、探索を前提とした洞窟といった要素に現れている気がする。旧作でも補給ヘリさえ無視すれば自由に動き回れることは出来たが、探索する意味はほとんどなかった。多少展開が変わることはあっただろうが、あくまでも多少であり、GGBにおけるルート選択とは根本的に異なるものだった。が、チベットギリシャを見れば分かるように、GGBはむしろ探索を奨励するようなフィールドデザインとなっており、アイテム制への移行でかなり自由なルート選択が可能となった。レーダーを廃止し、質量センサーへ移行したこともこれに拍車を掛けており、全体に探索感というワードを初めて感じるゲームデザインとなっている。こうした試みは単にFPSというジャンルであることを超えて、複数のジャンルに跨る複雑な要素を内包しつつあったことを物語っていると思う。

・「ガングリは見下ろし方のSTGに近い」という指摘を更に考えてみる。仮にあの戦場を俯瞰して眺めてみれば、続々と戦場に侵入して来る敵増援部隊の登場タイミングに画面外から現れるSTGの敵MOBを重ねることも出来るので、この言葉の意味するところも分かるような気がする。筆者はガングリの魅力の一つは秒刻みで練られた増援のタイムテーブルだと思っているのだが、これは特にⅡ以降に劇的に進化し、一定のランダム性を付与しつつ流れるように敵の増援が到着する様は、まるで音楽の旋律のようにゲームにリズムを与えていた。続々と出現する増援と戦い続けるサバイバルモードなどをプレイすると、更にSTG味を感じるかも知れない。この良く練り込まれた増援タイミングはGGBのギリシャウクライナで頂点に達し、あらゆる方向から大量に現れる敵との戦闘は一種の舞踏か、音ゲーでもやってるような気になってくる。ここにあのノリの良いBGMが加わることで快感は更に増し、戦闘はより白熱したものとなる。
 勿論、他のロボゲーでも敵の増援は登場するが、敵出現タイミングにここまで練り込まれたものやテンポの良さは感じることはほとんどない。ACのように「騙して悪いが」はしょっちゅうだが、むしろそうしたイレギュラー要素、不意打ち要素として登場する増援の方が印象に残ってしまう。勿論、これ自体は両者の目指すところの違いなのでACが劣っているというわけではないのだが、ガングリの増援タイミングが他のロボゲーに比べて良く練り込まれ、それがゲームのもたらす楽しさ、快感に深く繋がっていることは分かるだろう。この意味で言うと、筆者はアインハンダーのような往年のSTG(横スクロールシューティングだが)の敵登場タイミングなども想起したりするのだが、いずれにせよFPS視点のロボゲーというより、FPS視点化した縦スクロールシューティングという風に見てみると、ガングリの仕様には納得出来る部分が多い。GGBのアイテムもそれを導入した経緯がどうであれ、その文脈で考えるとなるほど全く突飛なものとも言えないのかも知れない。

・もっとも、アイテム制自体はシリーズが目指して来た方向性とは真逆の要素なので、これに反発があったのは理解出来る。それこそ前記のような記号的表現の違いに過ぎぬとは言え、ヘリとアイテムの見た目の差はやはり大きいと言わざるを得ない。もっとも、GGBのゲームデザインにはアイテム制の方が色々都合が良いようにも思われるので(或いはそのように調整したのかも知れないが)、導入した経緯については是非知りたいところである。これについてはまた別の記事で触れるかも知れないが、いずれにせよやはりGGBを解き明かす上で避けて通れないのがアイテム制なのだろう。

・前回の記事でSUPERAUTRUCHEの部位判定が前面やや上にあり、その理由は走行時に前傾姿勢になり、上面装甲が見えるからではないかと書いたが、改めて同機の砲塔を見たら理由が分かった。手元に資料があればそれを見てもらいたいが、AUTRUCHEの砲塔は前面の部分で折られたようにやや傾斜しており、ここの装甲が薄くなっているのだと思われる。傾斜は傾斜でもティーガーの砲塔のような楔型の傾斜ではないので、避弾経始はあまり考慮されていないのだろう。アルミ合金製の上にかなりの軽量級なので、そもそもの装甲防御力も相当弱いのだろうが、このように弱点部位の導入によってAWGSごとの個性が出たのはGGBの良い所だ。例えば姿勢の低い多脚型は接近戦になると弱点である上面部位を晒しがちになるので、近接戦闘をやる意味が生まれ、戦闘そのものにも奥行きが生まれた。もしシリーズが続いていれば弱点部位は更に細分化され、それがゲームそのものに大きな深みを与えることになったかも知れない。