今回は以前に執筆した「第三次世界大戦戦後史・番外編 戦後のAWGS開発史」にレゴの画像を乗っけた架空兵器の紹介記事です。画像だけでなく、内容も一部加筆・修正しています。
*本稿はゲームアーツの3Dシューティングゲーム、「ガングリフォン」シリーズの内容を元にした架空戦記の番外編です。これ以前の内容については「架空戦記」カテゴリから閲覧することが出来ます。基本的に「GUNGRIFFON THE EURASIAN CONFLICT」から「GUNGRIFFON BLAZE」までの設定に準じていますが、一部に筆者のオリジナル設定も含まれていますので注意して下さい。
また、本稿の内容は「第三次世界大戦戦後史・番外編 戦後のAWGS開発史」内の文章と一部重複する箇所がある他、現在の筆者の考えに基づき一部の設定を変更した箇所もありますが、ご了承下さい。
AWGS
ハヌマン偵察歩行車(?)
タイとシンガポールが共同開発した偵察用AWGS。開発は車体と駆動系をタイが、内部の電装品などをシンガポールが分担して進められた。
そのゴリラのような独特な歩行システムもさることながら、非常に小型かつ軽量なことも特徴の一つで、他のAWGSでは行動が制限される狭い空間でも行動可能な高い自由度を誇っている。装甲はアルミ合金製の全溶接構造で、状況に応じてロシア製のリアクティブアーマーを装着することで防御力を高める。固定武装は車体に直接マウントされた30㎜機関砲のみだが、オプションとしてKEMランチャーやグレネードランチャーを肩に装備することも出来る。
コラートで得られた技術を基にユニークな新コンセプトを多数投入した本機は、アジアにおけるAWGS開発技術が習熟してきたことを示す好例として高く評価されている。
その開発は終戦後の2016年頃から既に始まっており、二脚型と多脚型の利点を併せ持つ機体として注目を浴びた。2018年頃には試作機が完成し、翌19年頃からタイ国境地帯のジャングル防衛用として配備が進められたのを皮切りに東南アジア各国でも採用が進んだ。2020年8月に始まった中国・APCとインド・OAU間の軍事衝突では新生APCに加盟した東南アジア部隊の主力として参戦。ミャンマーに侵攻したインド・OAU軍に対して執拗なゲリラ戦を展開し、反撃の一翼を担った。
2021年3月から始まったAPCによるシベリア侵攻(名目上は解放作戦)にも投入されたが、本来は亜熱帯での運用を考慮して開発された機体ということもあり、極寒のシベリアでは十分に性能を発揮することが出来なかった。もっとも、シベリア鉄道襲撃作戦ではコラートの啓開した森を進んでゲリラ攻撃を敢行し、日本外人部隊の16式や12式と共に一定の戦果を挙げた。
フロッシュ(ボルボ/BAE)
スウェーデンが開発した四脚型AWGS。森林と湖沼の多い同国の地形に合わせて水陸両用として設計されており、単独で河川を渡河出来る水上浮航野力を備えている。短時間ならば水中に潜航することも可能で、水中に潜んで敵を待ち伏せするゲリラ的運用が想定されている。
装甲は圧延防弾鋼板の全溶接構造で、密閉性を高めている。主武装は四脚型としてはやや軽装なボフォース製40㎜機関砲だが、より強力な90㎜低圧砲を装備したタイプも存在する(ただし、90㎜低圧砲タイプは水上浮航能力に制限を受ける)。本機はスウェーデン陸軍に採用された後、地理的条件の似た北欧各国やトルコでも採用されている。
特にトルコではアメリカのM15A1とのトライアルを経て採用されるなど、高い評価を受けた。これには将来的なPEU加盟を目指すトルコ政府の思惑も働いていたが、M15A1に比べて後発の分、高い水準で性能がまとまっていることも大きな要因となった。
2021年2月にロシアがウクライナに侵攻すると、ウクライナ側に立って参戦したトルコ軍の先鋒として大規模な反撃作戦に参加。トルコ海空軍の支援の下にクリミア半島に上陸し、橋頭保を得ることに成功する。
後には本国のスウェーデンや北欧諸国もAPCとの戦いに投入し、湖沼の多いシベリアの大地を舞台にその性能を遺憾なく発揮。PEU北欧合同軍の主力として水際からの奇襲作戦などで縦横無尽の活躍を見せ、APC軍のシベリア侵攻を食い止めることに貢献した。
バルフンド・アインハンダー(モワク)
偵察用に開発された四脚型AWGSバルフンドに工兵隊向けの改修を施した車両回収車仕様。不整地における優れた姿勢制御を活かし、通常の回収車両では対応出来ない急斜面等での車両の回収や障害物などの除去作業を行う。
車体上には名前の由来となった大きな一本のクレーンアームを装備しており、車両を回収する際などに使用する。車体前部に追加された二本のアームはドーザーブレードを装着しての塹壕構築や障害物の撤去作業等に使用出来る他、クレーンアーム使用時や歩行時に車体を支える為のリフトアームとしての機能も果たす。これらのアームは全て電気駆動式となっており、車体後部に増設された補助動力で駆動する。
本格的な戦闘任務は考慮されていない為、武装は自衛用の20㎜機関砲のみとなっている(画像のモデルでは再現されていない)。
ベリサリエリ(フィアット・OTTブレダ)
イタリアが開発した四脚型AWGS。戦後の重い賠償金支払いの為、当初から輸出を前提に開発が進められており、リットリオに比べて構造の簡略化とコストダウンが図られている。
リットリオとは対照的に平地での機動性を重視した機体で、コンバットタイヤを装備した高機動型も存在するが、高い不整地踏破性能は継承している。装甲はアルミ合金製の全溶接構造だが、砲塔前面には複合装甲を採用。被弾の多い脚部にもリアクティブアーマーを取り付けて生存性の向上を図っている。武装には120㎜低反動滑腔砲と小型KEMランチャーを搭載。
輸出は好調であり、リビアやエチオピアなどで採用された他、本国のイタリア陸軍やロシアでも配備が進んでいる。
2021年3月にAPC軍がシベリアに侵攻すると、PEU・南欧諸国合同軍の中核としてウクライナに派兵されたイタリア軍部隊の主力として活躍。ウクライナ軍を相手に激闘を見せた。
同年5月に始まった第五次中東戦争では、イスラエル側に立って参戦したOAU・エチオピア軍の機体として多数が投入され、アラブ軍と戦った。10月になるとリビアに上陸したPEU軍のエジプト進撃を阻むべく、エル・アラメイン左翼に展開。南アフリカ陸軍第44落下傘旅団及び空挺コマンドと共にカッタラ窪地から戦線の突破を図ったフランス外人部隊の猛攻を撃退し、失敗に終わらせた。
対するイタリア・リビア軍も同型の機体を多数配備していたが、エル・アラメイン正面に設けられた南アフリカ・OAU軍のエレファント陣地への攻撃で被害が続出。車高の高さから狙い撃ちされ、多くの機体が破壊された。
BMX歩行戦闘車(シャバリン設計局)
ロシアが開発した二脚型AWGS。小型・軽量を旨とするロシアらしい機体で、当初から空挺作戦を考慮して設計されている。装甲はアルミ合金製となっているが、全身にリアクティブ・アーマーを装着することで生存性の向上を図っている。武装にはZSU30機関砲とKEMを装備。日本のマニュピレーターは給弾等の各種作業に使う他、歩行時にはウェイトバランサーの役目も果たす。
BMX-30は空挺師団の高射部隊用に改良されたタイプで、四基の対空ミサイルと対空レーダーを装備している。これによる重量増加に対処する為、リアクティブアーマーは取り外されている。
コストパフォーマンスに優れることから戦後はインドや中東・アフリカ諸国を中心に広く普及が進んでおり、輸出市場でも成功を収めている。
BMX‐19ハンマーヘッド(モロゾフ設計局)
ロシアが開発した四脚型AWGS。アメリカのブルータルクラブに刺激を受けたロシアが戦前から極秘に開発を進めていたもので、新機軸のコンセプトを多数詰め込んだ野心的な機体となっている。「ハンマーヘッド」はアメリカ軍によるコードネームであり、本来は「ヤーシリツァ(トカゲ)」が正式名称。
最大の特徴は車体を前面を覆う半円状の巨大なカクタス装甲で、複合装甲と爆発反応装甲を組み合わせた特殊装甲により高い防護力を発揮する。武装は低反動140㎜滑腔砲と長射程のL‐KEMを装備しており、申し分のない攻撃力を有している。
本機は評価試験において高い評価を得てロシア軍に採用されたが、敗戦後の混乱と資金難から少数が配備されるに止まっており、むしろ中東諸国等で輸出仕様型の採用が進むという逆転現象が起きている。
2021年3月に起こったロシア国内のクーデター事件では旧共産党派の部隊がこの機体を装備していたとも言われるが、定かではない。後にシベリアに侵攻したAPCに対するロシア・PEU軍の反撃作戦にも投入され、APC軍をシベリアから追い払うことに貢献した。
メギドMkⅡ(IMI/ラファエル)
メギドで得られたデータを基に重装甲、高火力を更に押し進めた改良型。旧型の最も大きな違いは極端に大型化した砲塔で、全周囲に複合素材の増加装甲を取り付けて装甲防護力を強化している。これは特に歩兵の持つ対戦車ミサイルやRPG対策を意識したもので、ラファエル社製のAPS(アクティブ防護システム)も標準装備されている等、徹底した生存性の向上が図られている。主砲も新開発の140㎜低反動滑腔砲に換装されており、AWGSの中ではエレファントと並び最強クラスの火力を有している。
しかし、これらの改良によってただでさえヘビー級の重量が更に増加することとなり、その機動力はAWGSの中でも最低クラスのものになってしまった。もっとも、狭い国土の防衛戦を想定した運用の性格上、イスラエル軍ではあまり問題にされていない。
2021年5月に始まった第五次中東戦争ではイスラエル軍AWGS部隊の主力として奮戦。数に優る中東諸国連合軍の侵攻を度々跳ね除け、主力戦車であるメルカバMkVと共に祖国防衛の原動力となった。
ミュルメクス(IMI/ラファエル)
イスラエルがアラブ側から鹵獲したロシア製「ハンマーヘッド(ヤーシリツァ)」に独自の改修を加えた機体。外観上の大きな特徴であった半円状のカクタス装甲が取り外された代わりに、西側製の傾斜した増加装甲が装着されている為、印象が大きく異なる。
主砲こそ120㎜滑腔砲にダウングレードされているものの、実際の主武装は車体後部に装備されたラファエル社製の四連装スパイクミサイルNLOSで、砂に潜って敵を待ち伏せ、射程外から撃破するタンクキラーとしての運用が本来の用途である。その最大射程は25㎞にも達し、砲兵的な運用すら可能となっている。
この機体はイスラエル軍機甲旅団の砲兵連隊や対戦車中隊などに配備された。
2021年5月に始まった第五次中東戦争にも密かに投入され、長距離ミサイルの移動砲台として活躍。押し寄せるアラブ軍にミサイルの雨を浴びせ、祖国防衛用の一翼を担った。
サウル(IMI)
メギドとペアを組むことを前提に開発された四脚型AWGS。小回りの利かないメギドをサポートする、戦車に対する歩兵戦闘車的存在。ティーガーに似た連結システムを持ち、小柄ながら高い不整地踏破性を持つ。また、砲塔と車体前面に複合装甲を採用している為、生存性も高い。固定武装は30㎜機関砲のみとなっているが、オプションとしてKEMやグレネードランチャーも装備可能。
この機体はイスラエル軍機甲旅団や機械化歩兵師団の偵察中隊、機械化歩兵大隊に配備された他、その完成度の高さからリビアや南アフリカ・OAU軍でも採用されている。*1
第五次中東戦争ではメギドやミュルメクスと共に投入され、国内各地でアラブ軍と交戦。祖国防衛の大役を見事に果たした。
非戦闘車両
装甲装輪車
開発国不明の八輪式の装甲装輪車。装甲装輪車としては標準的な性能を持ち、35㎜機関砲や105㎜滑腔砲などを装備したバリエーションが確認されている。車体後部には物資などを搭載するスペースが存在する。カラーリングなどから見て国連軍仕様ではないかと思われるが、詳細は不明。
多目的車両(?)
開発国不明の多目的車両。フロントガラスにスリットが入っているなど耐弾性も十分に考慮されていることが窺えるが、装甲はないに等しい。上記の装甲装輪車と同じくカラーリングから見て国連軍仕様ではないかと思われるが、詳細は定かではない。手前を行くのは某国のテレビ・クルー。