ガングリフォン・ムック(仮)

名作ゲーム、ガングリフォンシリーズについて考察するブログです。他のゲームも時々語ります。更新不定期。

エジプトの砂丘、タートンの起伏

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最近、エジプトをプレイし直している。筆者はいつも16式などを使ってスタート地点から左回りのルートを通って崖の上に登り、崖上からゲート前の守備隊を撃破していくスタイルを取るのだが、今回は敢えて9式を使い、地上から右回りのルートを通ってみることにした。右回りのルートは背の低い丘や砂丘以外には何もない比較的平面的なルートで、以前の記事でも紹介したレオパルドⅢやツングースカ、バリアント、エレファントからなるゲート前守備隊の威力が最も発揮される防衛堅固なルートである。今回はそこに敢えて挑戦してみようというわけだ。

 

ということで、早速9式に乗って出撃する。攻略するのが目的というより、敢えて右回りのルートに挑むのが目的なのでオプショナルパーツにはファイアーパワーアップ2を2個装備、オプショナルウェポンには一応モーションセンサー爆弾を引っ提げて出撃した。

 

比較的贅沢な装備だしゲート前までは余裕で辿り着けるだろうと考えていた筆者の甘い予想はしかし、スタート直後の砂丘で早くも打ち砕かれることになる。砂丘に展開するサティロスとビットヴァイパーが地味に強い。久しぶりの9式ということもあり、弾数をケチるために立ち止まって敵を狙い撃つ筆者にATMやらグレネードをバンバカ撃ってきてものの数分で撃破されてしまう事態に。

 

こ、こんなはずでは・・・・・・。

 

結局、3度くらいリトライしてようやくスタート地点の砂丘を脱出。先が思いやられる。

 

さて、ここを超えると敵の守備隊の前衛にぶつかる。数両のレオパルドⅢとバリアントだ。ここは敵の記憶も配置していたので、遠距離からレオパルドⅢを処理。途中、地味に痛いバリアントの76㎜砲の直撃を数発受けながらも何とかここを突破し、いよいよ敵の守備隊の本隊付近に迫る。

 

右回りルートには背の低い丘の裏に補給所があり、ここにジェリカンや弾薬が配置されている。この裏辺りからゲート前の守備隊を狙撃していくつもりだった。果せるかな、ゲート前の開けた大地に展開するレオパルドⅢ、ツングースカ、バリアントを処理していく。

 

ここでちょっと感動したのはバリアントの姿。ズーム機能を使うと砂丘の向こうから砲塔を少しだけ出すバリアントの姿を確認出来るのだが、この姿が下の画像そっくりなのである。

 

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そう、以前の考察でも何度か触れた「ハルダウン」だ。このエジプトのバリアント、これをきっちりやっているのである。もう画像そっくりに、砲塔の上部だけちょこっと出して。もっとも、こちらが余程砂丘から顔を出さない限り敵の砲弾も届かないのだが、何せ方々に展開しているので牽制の役目は十分に果たしている。しかも、このバリアントに気を取られていると、砂丘の裏に隠れたレオパルドⅢなどに狙撃されるので油断ならない。

 

だが、エジプト右回りルートの本当の恐怖はここからだ。新型貫通砲の特徴を最大限に活かして丁寧に遠距離から敵を狙撃していると、突如機体に大ダメージを喰らう。耐久度を示すゲージの半分以上が一気に点滅し、下降を始める。これだけの大ダメージを与えてくるのは間違いない、エレファントだ。

 

左側ルートに位置する大岩方面から守備隊の中央部に進出してきた敵のエレファントによる長距離砲撃を受けたのである。当然、エレファントが来ることは予想していたのだが、思いもよらぬ距離からの攻撃にジェリカンに辿り着く前にゲームオーバーになった。

 

ぐぬぬ・・・・・・!

 

早速リトライして同じ場所に到達するも、またも「ドゴン!」とコントローラーを震わせる衝撃が来て、敢え無く死亡。

 

ぐぬぬぬぬぬ・・・・・・!

 

強い。平面上で戦うエレファントは文句なく強い。こちらの注意不足も勿論あるのだが、その射程と反応距離の長さは筆者の予想以上だった。これに比べればウェイファンのMLRSなんて可愛いものだと、以前書いた記事のことも忘れてすぐにリトライ。

 

今度はエレファントに最大の注意を払い、ズーム機能で進出してくるエレファントを注意深く観察する。途中で今度は付近のバリアントにちょっかいを出されて往生したが、何とか処理。進出してきたエレファントに一撃を当てる。9式の新型貫通砲はそのままでも十分強いが、オプショナルパーツで更に強化しているのでエレファント相手でもかなり削る。

 

敵も反撃して来るが、こちらもしっかりとハルダウンしているので敵の砲弾は前方の砂丘に着弾して空しく噴煙を上げるだけ。こうなれば後は容易い。遠距離から一匹、また一匹とエレファントを処理し、ゲート前の守備隊を一掃した。ゲートに無事辿り着いた筆者は、弾薬を補給して既にクイーン三機(ヤークトパンターⅡ)が到達した軍港内部にグレネードとモーションセンサー爆弾をばら撒き、クイーンが残り一体になったところで突入する。

 

しかし、残念ながらここでタイムアップ。ゲート前の守備隊の一掃に時間を掛け過ぎて、作戦時間を大幅に使ってしまっていたのだ。敢えて守備堅固な右ルートを通ったとは言え、中々の苦戦っぷりだったと言えようか。

 

プレイして改めて思ったが、ブレイズって全然ライトゲーマー向けじゃない。HELLモードでプレイしているからというのもあるのだが、もう少し難易度を落としても右側ルートは結構キツイのではないか。そして恐らく、左側の崖ルートに気付いたとしても地上からもエレファントに狙撃される上に、軍港内部にはクイーンが来るのでライトゲーマーにとってはちっとも簡単ではないだろう。

 

 

 

さて、このエジプト右回りルートをプレイしていてもう一つ気付いたことがある。それはこのステージが「初代のタートンに似ているなぁ」ということである。タートンとは言うまでもなく初代の5面に相当する万里の長城を舞台としたステージで、ここを境に急激に難易度がアップしていく初代最初の難関である。

 

タートンはスタート時に燃料不足でジャンプが出来ないという特殊な制限を設けられたシリーズでも珍しいステージの一つで、プレイヤーは補給ヘリの補給を受けるまで現状を回復出来ない。自機の能力を100%発揮出来ない状況下で、プレイヤーはまずは敵中を突破して補給ヘリまで辿り着くことを求められることになる。

 

スタート地点の前方にはAWGSが身を隠せるくらいの起伏がいくつかあり、その後方にはバリアントやチャレンジャー2を主力とするPEU・イギリス軍と思しき部隊が展開している。プレイヤーはこの起伏を遮蔽物として使いながら、長城沿いに左回りで味方の補給ヘリまで移動するも良し、敵部隊と戦うも良しなのだが、この「起伏の後方にバリアントや戦車が配置されている」という絵面がエジプトのそれとそっくりなのだ。

 

タートンは初代の中ではもっとも地形を活かした「隠れながら撃つ」コンセプトが現れているステージだと思うが、このタートンとエジプトに共通する場面が見られるのは偶然ではないように思う。ついでに言えば、タートンはエレファントが初登場するステージでもあり、レーダーに映らないマップの隅の森から進出してきて、不用意に近づいたプレイヤーに猛烈な砲撃を浴びせてくる。その異常なまでの発射間隔と衝撃でジャンプ出来ないプレイヤーは何も出来ぬままに撃破されることも少なくなく、この点でも少しエジプトと似ているかも知れない。

 

つまり、あのエジプトの守備隊は以前の記事で指摘したウェイファンの砲兵陣地の系譜というより、実は初代のタートンの系譜と見た方がより的確なのかも知れない。そう言えば、タートン後半にムリヤで輸送されてくるヤークトパンターの数もエジプトのクイーンと同じ3機で、共通点が多い。いやいや、共通点ばっかじゃん。出てくるAWGSはほとんど同じだね(ビットヴァイパーとサティロス以外)。

 

そのクイーンにしても、軍港内部を周回するその動きは初代の東ウラルに登場するヤークトパンターを思い起こさせるものがあるし、何となく初代へのオマージュめいたものも見え隠れする。そしてブレイズの良い点は、これらが初代の単なるパロディやオマージュにはなっていないことだ。

 

タートンではオブジェクト判定の大きさからか遮蔽物越しの射撃の射線が通らず、その初期コンセプトである「隠れながら撃つ」感覚は十分に再現されていなかったが、エジプトの砂丘ではそれが十分に楽しめる。

 

タートンのエレファントの強さはこちらがジャンプ出来ないという制限と異常なまでの発射間隔というシステム面に頼る強さであったが、エジプトのエレファントの主砲はその威力、射程、発射間隔、どれも納得出来るもので、強力ではあるが気を付けていれば回避可能という点では、余りアンフェアな感じは受けない。

 

そして最終盤に登場するクイーン三機は、東ウラルのそれと違って決められたルートを周回するだけではなく、AIによってその時々で行動を変えるようになった。

 

このように、エジプトは初代のタートンや東ウラルの特徴を引き継ぎつつ、進化しているように見える。ここに挙げた三つの共通点は、いずれも初代へのオマージュやパロディに止まるものではなく、初代からブレイズへと至るシリーズの進化の歴史を具体的に説明する格好のモデルケースとなり得ているのではないか。