ガングリフォン・ムック(仮)

名作ゲーム、ガングリフォンシリーズについて考察するブログです。他のゲームも時々語ります。更新不定期。

とりとめのない呟き

 相変わらずとりとめのない呟きをば‥‥‥。

 

  • 先日、ツイッターで仮想戦記について言及してくれたフォロワーさんがいて感激。今まで仮想戦記に触れてくれた人ってほんと少なかったというか、そもそもあれを読んだ人自体まずいないと思っていたので、嬉しい驚きでした。感謝。どこかしらで見てくれている人はいるもんですね。このブログ自体も(驚くべきことに)定期的に見てくれている人はいるみたいなので、今後もそういう人が楽しめるブログにはしたいと思っています。まずは自分が読みたいもの、見たいもの、楽しめるものを作るというのがこのブログの趣旨なのでそれは今後も変わりませんが、まぁそれを面白いと思ってくれる人がいてくれたらお付き合い下さい!
  • 色々思い出したけど、この仮想戦記の最終章(「ブレイズ・ウォー」)を書いてる時は丁度近所の騒音問題で大変な時で、泣きながら書いてた思い出がある(いや、ほんとに)。あの凄まじい騒音の中でこれを書いてたんだから、こればかりは自分を自分で誉めてあげたい(有森)。というか、これを書くことで正気を保ってたんだよね。「俺はこれを書き上げるまでは死ねないんだ!!」みたいな気持ちでやってた(それだけ凄い騒音だった)。だからこれに反応してくれるのは余計に嬉しいのですね。軍事の知識もろくにない人間が書いたものなので色々穴はあると思いますが、とにかくガングリの世界の続きを見たくて頑張りました。
  • あの仮想戦記は今見るとツッコミどころも多いし、今だったらこうは書かないという部分もあるんだけど、とりあえず書いておいて良かった。後になって読み返せるものがあるのは、出来不出来に関わらず悪いもんじゃないです。箇条書きみたいになったかなーとか色々反省点は勿論あるんですけど、とりあえずやる、始めたら終わらせるって大事だから、質はその後の話で。頑張りました(二回目)。
  • そろそろ日本も騒音問題を厳しく取り締まるべき。やりたい放題、やったもん勝ちの現状は何とかして欲しいなぁ‥‥‥(ガングリ関係ない)。
  • サテュロスの設定画を改めて見てるんだけど、どうにも飛びそうにないデザイン。というか、飛んでもコケそうじゃない?(そこから起き上がるための長い腕?)ジャンプ自体の利点は認めるけど、重装型のジャンプはガスタービンエンジンを使用してもちと効率が悪過ぎる気もする。とは言え、サテュロスみたいにジャンプする機体はあの世界では今後普及していく可能性もあるし、やがてFMのヴァンツァーみたいになっていくのかも知れない。そう思って架空戦記ではHIGH‐MACSに対するLOW‐MACSみたいな怪しげなカテゴリまで作ってしまいましたが、サテュロス自体は好きなんですよね。
  • 前回の記事で「ブレイズは正統派」みたいな発言をしましたが、何を以て「正統派」というのかはかなり難しいなと改めて思いました。いつか書いたように、「ファンが考えてるほど変化球ではないんではないか?割とストレート球だったんじゃないの?」くらいのニュアンスの方がより近いかな。実際、ベース部分はかなりストレートな作りで、初代からずっと試みられてきたことの延長線上に位置していると思うんですよね。確かにアイテムこそ一見すると奇異に映りますが、攻略ルートが固定化しがちだった補給ヘリのデメリットへの解答としては頷けるものがある。マップも広がり、あらゆる面で自由度を高めたGGBのゲームデザインにはより合っているという気もする。ライトユーザーの取り込みを図るという狙いが全くなかったとは言わないけども、それにしてはゲームデザインと上手く合致し過ぎてる気はするんですよね。
  • 「正統」とかそういう言葉は使うと誤解を招くかも知れないですね。自分は初代からGGBまでのGA製ガングリフォンには明らかな連続性があると思っていて、この三つを分けて考えると逆に分からなくなることも多いと思う。そういう意味も含めてストレート球という方がより良い気はします。
  • これに関連して言うと、いつか「GGBの仕様について考えることは、そのまま初代やⅡのことも考えることに繋がる」とも言ったけど、そういう立場からもGGBのことを考えるのが一番良いと思ってます。初代やⅡがああだこうだと言っているのではなく、三作をひとまとめにして見た方が分かりが良いだろうという話。ASをそこに含めないのも認めでないからではなく、自分が認めるとか認めないとか言えるほどプレイしてないということと、経験者の話を聞く限り一先ず一緒に括らなくても良いんではないかと。多分、GA製の三作についてはそこまでで一区切り出来ると思う。その上で他の作品も見るとより分かりやすくなると思います。
  • そのASですが、プレイした人の話を聞く限り色々なシステムを実装したは良いがそれらが互いに喧嘩してて、GA製の三作のように綺麗にまとまった感じが見受けられないような気はするんですよね。GA製の三作はやはりコンセプトがかなりしっかりしてて、シンプルで過不足なく綺麗にまとまった作りだと思います。Ⅱこそ娯楽要素盛り沢山でかなりボリューミーな内容ですが、だからと言ってガチャガチャしてるとかそういうこともないですし。
  • この意味で言うと、ファンには不評のGGBですらその内容は綺麗にまとまっていると思います。新たに実装されたズーム機能や劇的に広大化したフィールド、ジャンプ、攻撃ボーナスの部位ダメージへの変更、アイテム制の導入、そういった数々の要素が喧嘩することなく、見事に調和しているのはやはり優れたコンセプトとリーダーあってこそだったと思います。ボリュームに欠けた面はあったと思いますが、GAという企業の規模とPS2最初期という参入時期を考えればむしろ驚く部分も多く、本作ではプロデューサーに回った宮路さんの存在がそこに見え隠れするような気もします。
  • 実際のASの開発を担当したのは韓国のゲーム会社とのことなので、クオリティとかそこら辺はもう仕方ないとは思うんですけども。あの頃はもう宮路武さんもGAを退社してた筈ですし、仮にGAで作っていたとしてもどの程度ファンに受け入れられるものになったかは未知数です。ガングリは単純に作家主義で語れる作品ではないと筆者は考えていますが、それでもやはり宮路さんの抜けた穴は大きかった筈です。やはり宮路さんはガングリの産みの親であり、リードデザイナーであり続けたという気がします。

メモメモ2

・GGBのアイテムの一つに師団マークがあり、取得すると15秒間、敵の攻撃間隔が半分になる効果がある。こうした効果は昔馴染みのシューティングゲーム的な要素があると思うのだが、開発元のゲームアーツシルフィードなどのSTGで名を上げたことを考えると面白い気は以前からしていた。以前どこかで「ガングリは実際は見下し型のSTGに近い」という指摘を見たことがあるが、分かるような気がする指摘だ。

・こうしたことをツイで呟いたところ、初代のRPを例にとってあれは縦シューで言うところのボムに近いという指摘を頂いた。ゲーム中のRPは実際のRPとはやや異なるが、それは多分に意図されたもので、当時はまだ馴染みのなかったFPSをプレイし易くするために、馴染み深い縦シューの要素を取り入れたのではないかというのだ。勿論、開発側の意図は想像するしかないわけだが、上記のことなどと合わせて考えると納得の行く説明で、頷ける。総合して、やはりガングリにはSTGから引っ張って来た要素が多いと考えるのは合理的な見方のように思う。

・合わせて初代とGGBの差はシミュレーター寄りかゲーム寄りかの差ではなく、記号的表現の違いであろうという指摘も頂いた。あれほどリアルを謳われた初代でさえ、ゲーム的な文法の上に乗っているのであると。筆者もこれに同意する。これに対する答えとしてはズレるかも知れないが、筆者自身はGGBは単にシリーズの続編であるということを超えて、初代でやりたかったことのいくつかを実現しさえしているかなり正統派の作品だったと考えているので、初代でさえゲーム的文法に則っているという言葉には納得しかない。筆者の理解力不足のために当日は中々話が噛み合わなかった可能性があるのだが、伏してお詫びします。ごめんなさいっ!(ジャンピング土下座)

・これに関連して言うと、筆者は相当頭悪い(皆知ってた)

・これに関連して言うと(↑じゃないよ?)、例えば作戦失敗画面(コンティニュー画面)におけるカウントダウンや(Ⅱ以降なくなった)、ハイスコアを達成した場合にプレイヤーのイニシャルを入れたりする仕様(Ⅱまで存在)にも昔ながらのゲームっぽさ、もっと言ってアーケード由来のものを感じる時がある。アーケードからの移植が多い格闘ゲームなどではまだ残っているこれらの仕様であるが、家庭用向けに開発された大半のゲームからは消え去り、代わりに最初からプレイヤーの名前を登録してプレイヤーデータとして一括管理したり、カウントダウン自体を排除したゲームが多くなった。PS2にハードを移したGGBもプレイヤーデータを作成する方式に切り替わり、ステージの最高得点だけでなく、敵兵器の総撃破数などが累積データとして示されるようになった。こうしたデータを累積して示す辺りはRPG的と言って良いかも知れない。勿論、一時期のRPG人気を経てその要素は幅広いジャンルのゲームに文法として組み込まれたので(レベル制など)、それ自体は特段珍しいことではない。が、初代の時点でカウントダウンやイニシャルを入れる仕様が存在したことは、初代でさえゲーム的文法に則っているという前記の指摘を補強するのではないかと思う。

・このRPGというワードに関連して言うと、GGBはRPG味を感じる要素が多い気もする。それは例えば広大化したフィールドや自由度が大幅に増したルート選択、探索を前提とした洞窟といった要素に現れている気がする。旧作でも補給ヘリさえ無視すれば自由に動き回れることは出来たが、探索する意味はほとんどなかった。多少展開が変わることはあっただろうが、あくまでも多少であり、GGBにおけるルート選択とは根本的に異なるものだった。が、チベットギリシャを見れば分かるように、GGBはむしろ探索を奨励するようなフィールドデザインとなっており、アイテム制への移行でかなり自由なルート選択が可能となった。レーダーを廃止し、質量センサーへ移行したこともこれに拍車を掛けており、全体に探索感というワードを初めて感じるゲームデザインとなっている。こうした試みは単にFPSというジャンルであることを超えて、複数のジャンルに跨る複雑な要素を内包しつつあったことを物語っていると思う。

・「ガングリは見下ろし方のSTGに近い」という指摘を更に考えてみる。仮にあの戦場を俯瞰して眺めてみれば、続々と戦場に侵入して来る敵増援部隊の登場タイミングに画面外から現れるSTGの敵MOBを重ねることも出来るので、この言葉の意味するところも分かるような気がする。筆者はガングリの魅力の一つは秒刻みで練られた増援のタイムテーブルだと思っているのだが、これは特にⅡ以降に劇的に進化し、一定のランダム性を付与しつつ流れるように敵の増援が到着する様は、まるで音楽の旋律のようにゲームにリズムを与えていた。続々と出現する増援と戦い続けるサバイバルモードなどをプレイすると、更にSTG味を感じるかも知れない。この良く練り込まれた増援タイミングはGGBのギリシャウクライナで頂点に達し、あらゆる方向から大量に現れる敵との戦闘は一種の舞踏か、音ゲーでもやってるような気になってくる。ここにあのノリの良いBGMが加わることで快感は更に増し、戦闘はより白熱したものとなる。
 勿論、他のロボゲーでも敵の増援は登場するが、敵出現タイミングにここまで練り込まれたものやテンポの良さは感じることはほとんどない。ACのように「騙して悪いが」はしょっちゅうだが、むしろそうしたイレギュラー要素、不意打ち要素として登場する増援の方が印象に残ってしまう。勿論、これ自体は両者の目指すところの違いなのでACが劣っているというわけではないのだが、ガングリの増援タイミングが他のロボゲーに比べて良く練り込まれ、それがゲームのもたらす楽しさ、快感に深く繋がっていることは分かるだろう。この意味で言うと、筆者はアインハンダーのような往年のSTG(横スクロールシューティングだが)の敵登場タイミングなども想起したりするのだが、いずれにせよFPS視点のロボゲーというより、FPS視点化した縦スクロールシューティングという風に見てみると、ガングリの仕様には納得出来る部分が多い。GGBのアイテムもそれを導入した経緯がどうであれ、その文脈で考えるとなるほど全く突飛なものとも言えないのかも知れない。

・もっとも、アイテム制自体はシリーズが目指して来た方向性とは真逆の要素なので、これに反発があったのは理解出来る。それこそ前記のような記号的表現の違いに過ぎぬとは言え、ヘリとアイテムの見た目の差はやはり大きいと言わざるを得ない。もっとも、GGBのゲームデザインにはアイテム制の方が色々都合が良いようにも思われるので(或いはそのように調整したのかも知れないが)、導入した経緯については是非知りたいところである。これについてはまた別の記事で触れるかも知れないが、いずれにせよやはりGGBを解き明かす上で避けて通れないのがアイテム制なのだろう。

・前回の記事でSUPERAUTRUCHEの部位判定が前面やや上にあり、その理由は走行時に前傾姿勢になり、上面装甲が見えるからではないかと書いたが、改めて同機の砲塔を見たら理由が分かった。手元に資料があればそれを見てもらいたいが、AUTRUCHEの砲塔は前面の部分で折られたようにやや傾斜しており、ここの装甲が薄くなっているのだと思われる。傾斜は傾斜でもティーガーの砲塔のような楔型の傾斜ではないので、避弾経始はあまり考慮されていないのだろう。アルミ合金製の上にかなりの軽量級なので、そもそもの装甲防御力も相当弱いのだろうが、このように弱点部位の導入によってAWGSごとの個性が出たのはGGBの良い所だ。例えば姿勢の低い多脚型は接近戦になると弱点である上面部位を晒しがちになるので、近接戦闘をやる意味が生まれ、戦闘そのものにも奥行きが生まれた。もしシリーズが続いていれば弱点部位は更に細分化され、それがゲームそのものに大きな深みを与えることになったかも知れない。

メモメモ

 最近知った情報や気付いたことなどをメモっときます。

 

・Ⅱにおける慣性の導入はリプレイを導入した結果ではないかと指摘を受ける。初代のようなクイックで軽い挙動だと、客観視点で見られた場合に不自然に見えることを考慮し、自機の歩行パターンや慣性を導入され、それがゲーム性として昇華された可能性。出典は確認出来ないながらも、雑誌媒体などでスタッフの証言として読んだという指摘もあり。いずれにせよ、慣性を導入した経緯、順序としてはこの方が納得がいくように思われ、リプレイモードのないブレイズにも継承されたと見るべきだろうか?

 

・初代やⅡの説明書には「空中からの攻撃は2倍の威力になる」旨の記載があるが、実際にはキエフなどの建物に登って上からGUNでBMXを撃つと、地上だと二発必要なBMXが一発で倒せる。これはどういうことか疑問でツイッターで呟いてみたところ、複数のフォロワーから弾丸の入射角が関係しているのではないかという指摘を受けた。

 筆者は長年、「空中にいる」、或いは「敵よりも高所にいる」ことが条件なのではないかと考えてプレイしてきたが、「位置で記憶するとメモリーを食う」、「(空中にいない)砲兵(Phz2000やMRLSなどの自走砲)の攻撃にトップアタック効果が掛からなくなるのでは」といった指摘を受けて疑問も浮かんだ(これら自走砲の攻撃にボーナスが掛かっているのか未検証とは言え)。

 また、Ⅱに関しては一定の入射角が条件で、上からは勿論、下からの攻撃にもボーナスが発動するという指摘もあった。具体的には、ジャンプ中のヤークトパンターなど、空中にいる敵を下から撃った際でも入射角次第で発動するという。また、仮に敵と同じ高度にいる場合でも、接近して一定以上の射角を取って撃つことでも条件は発動するというから驚いた。筆者自身は未検証なので確証めいたことは言えないが、これらの情報が正しいとするとⅡのプレイ感は相当変わってくることになる。

 ちなみに、ブレイズにおけるボーナスは「弱点部位(多くは敵兵の上面)に当たった場合に4倍」とされており、自機が空中にいることや入射角は関係ないと思われるが、再度検証してみると新たな発見があるかも知れない。そもそも、弱点部位は敵によって微妙にことなり、上面とは限らないからだ(SUPERAUTRUCHEは上面というより、砲塔前面やや上くらいに設定されている気がする。もしかしたら、走行中に前傾姿勢になるために上面装甲が見えてしまうからかも知れないが)。

 

・上記に関連して書くと、ヘリなどの比較的低速で空中を飛翔する航空機は敵に晒した底面を撃ち抜かれることも多いと聞くので、下からの攻撃にボーナスが掛かること自体は理屈としては分かる気もする。*1特に第二世代型AWGSの場合、移動手段として非常に重要な割に被弾面積が大きい脚部を晒しているのは問題が大きい気もする。

 

・前回の記事で取り上げたATMのトップアタックで倒せる敵をまとめてみた。「検証」というほど数をこなしたわけでも正確さを求めたものでもないが、一応データとして残しておく。難易度は全てHELL、機体は16式、武装対戦車ミサイル(ATM)を使用。オプショナルパーツはファストムーブやアドバンスドアーマーは使用したものの、ファイアーパワーアップなどの火力強化パーツは一切使っていない。

 

  • M16A1
  • VW‐1(接近すると反撃が強烈なので、敵の射程外から倒せるのは大きい。一定の区画からは出ようとしないので、当てるのもそう難しくはない)
  • ティーガー
  • コラート(中途半端な攻撃だとATMの反撃が来るので、反撃を許さず倒せるのは大きい)
  • SUPERAUTRUCHE(通常の撃ち方でも一撃なので敢えて狙う必要はない)
  • リットリオ(低姿勢の上に移動速度も遅いので狙い易い)
  • BMX‐30
  • サテュロス(耐久力が高いので一撃で倒せるのは大きい)
  • バリアント(防御力が高く反撃も強いので、反応する前に倒せるのは大きい)

 

 グァムのヤークトパンター(教官機)、ケープカナベラルのM19A1、チベットの13式、ギリシャのストゥームパンターウクライナのストゥームティーガー、フォルクスパンターなどには未検証だが、13式はトップアタックには耐えられないだろう。残りの敵も教官機のヤークトパンターを除けばトップアタックなら一撃で倒せる可能性が高いように思うが、何せ機動力が高いので狙って当てるのは中々難しい。

 逆に、ATMのトップアタックに耐えられるのはエジプトのエレファントとヤークトパンターⅡである。この二機にATMのトップアタックを放った結果、エレファントは一発で7割ほどの体力を、ヤークトパンターⅡは6割ほどの体力を削った。いずれも一発では倒し切れないが、通常撃ちでこれだけのダメージを与えるには四倍の弾数が必要なことを考えれば、積極的に狙っていく価値があると言えるだろう。

 もっとも、ヤークトパンターⅡに撃ち込むには軍港ゲート上の崖上から三機の猛攻を凌ぎつつ放たなければいけないので、難易度は相当に高い。敵が動きを止めることも少ないので狙って当てるのは難しく、効率の良い手段と言えるかは微妙なところだ。強いえて言えば、モーションセンサー爆弾やクラスター爆弾、燃料気化爆弾といった貴重な武装を使わずとも大ダメージを狙っていけるのがメリットか。

 また、トップアタックで当たっているように見えても一発で仕留めきれない場合も何度かあった。当たり所が悪かったのか、はたまた別の要因なのかは分からないが、敵機が移動中だと仮にそれが低速でも飛翔中のミサイルの軌道に微妙な変化が生じてしまい、上面部位以外に当たってしまっているのかも知れない。

 このように、ATMのトップアタック攻撃には高機動型の敵や移動中の敵にはやや信頼性に欠ける部分もあり、発射角や距離の調整にも手間が掛かるなど、煩わしい面もないではない。正直、ある程度以上の腕があれば連射型GUNやRPで倒してしまった方が早いのも確かだ。とは言え、エレファントやヤークトパンターⅡですら二発で倒せる威力は魅力的であり、大抵のAWGSを反撃を許さず確殺出来るのは利点が大きい。自機の被害も抑えられる点、ATM自体が戦場で豊富に取得出来る武装である点なども考慮すれば、実用性は十分と言えるのではないか。

 

・検証のためにモーションセンサー爆弾をエレファントの上面に張り付けてみたが、上面に張り付けた場合と足元にバラまいた場合とでダメージに明確な差はなかった。確かに上面に張り付けたので、当たり所が悪かったというわけでもなさそうである。大昔に購入して友達に借りパクされたままになっているブレイズの攻略本を新規購入して読んだところ(不必要な情報)、武器のダメージには直撃ダメージと爆炎ダメージの二つがあると書かれていた。例えば、上記のATMに代表されるミサイル系の武装には直撃ダメと爆弾ダメの二つがあるとされているが、モーションセンサー爆弾は直撃ダメが0で爆炎ダメが400となっている。ちなみに、爆炎ダメは間接ダメージとも表現されている。

 ここから推測するに、モーションセンサー爆弾に前記のようなボーナスが掛からないのは爆炎ダメのみだからで、ボーナスが掛かるのは直撃ダメのみなのではないかと考えたら筋が通る気がする。イメージ的にも爆炎(或いは爆風)に装甲を貫徹するイメージは持てないので、これ自体は納得が行かないこともない。ただ、地雷などの兵器は戦車に対して非常に大きなダメージを与えることがあるので、似たような性質のモーションセンサー爆弾にボーナスが掛からないのもやや不思議な話ではあるが。いずれにせよ、もう少し検証が必要かも知れない。

 

・これに関連して話すと、現実にAWGSが存在したらその装甲は戦車よりも遥かに薄いと考えざるを得ないので(特に二脚型は一般的な戦車の半分以下しか重量がないので)、上面装甲に限らず攻撃ボーナスがあっても良い気がする。例えば、上面以外にも側面、背面、底面という風に細かく分割していくと、より奥の深い戦闘が楽しめるようになるかも知れない(というか筆者はある時期まで背面にも攻撃ボーナスが発動してるはずだ!とか勝手に考えていた)。最も厚い前面装甲を敵に向け続けることで生存率が向上し、逆に不用意に敵に背中を見せたりすると撃破されてしまうというのはリアルだし、ゲーム的なテクニックとしても面白い。昨今の戦車ゲームを見れば分かるように、ゲーム的な面白さは担保されている。前面装甲を向け続けながら後退する9式なんて絵になるではないか(例え前面を向け続けてもブリキ缶以下の紙装甲だとしても)。

 これに付随して戦車など従来型の兵器の性能も見直し、むしろAWGSよりも固いバランスにしたモードなどがあっても良いと思う。是非実装してほしい。いやしろ。お願い。*2

 勿論、ゲーム的なバランスや諸種の事情でプレイヤー機やAWGSの強さを調整する必要性を理解しないわけではない。が、ブレイズのHELLモードをプレイすれば分かるように、飛んで来るミサイルやエレファントの主砲の一撃で即死する戦場もまた楽しいものだ。一瞬の判断ミスが命取りになる緊張感、プレイヤー機と敵機の性能が限りなく近づけられ、主人公機でさえただの兵器に過ぎないと分かるゲームバランス。それらの方向性はブレイズのみに止まらず、ガングリフォンという作品が目指して来た方向性と合致するように思えるのである。

 

 

 

 

 

脚注

*1:勿論、これはベトナム戦争など古い時代の話であって、攻撃が集中する部位ということもあって最近は強化されているらしい。また、他にも弱点となり得るエンジンは機体の上部やローター周辺に配置されている場合が多いし、最大の弱点はテイルローターとされる。

*2:筆者は戦車一体一体の防御力をGGBのエレファント並みに引き上げろと長年主張しており、「戦車の性能をエレファント並みに引き上げる会」の代表も務めるなど、精力的に活動している(現在会員1名)。

ATMによるトップアタック動画

 スマホによる直撮りで申し訳ないですが、ブレイズ関連の動画をツイに上げました。今回はブレイズになってから使い辛くなったと言われてきたATMについて上げています。

 今作のATMは旧作に比べて弾速が遅く、高速で移動する目標に避けられやすいなどの欠点がありますが、ロックさえすればどこに向って撃っても目標に飛んでいく旧作にはない性質があります。この性質を利用すれば、ウクライナで活躍中のジャベリンの如く敵兵器に対してトップアタックを仕掛けることが可能となり、4倍のダメージを与えることが出来るようになります。ATMの直撃ダメは400なので、トップアタック時の直撃ダメは1600となり(爆炎ダメに関しては未検証)、エジプトのエレファントやヤークトパンター2ですら二発で倒せる火力になります。それ以外のAWGSについてはほぼ一撃で倒せるようです(重装型のサテュロス、ケープカナベラルのVW-1も一撃)。



①エジプトの崖上からエレファントにATMのトップアタックを仕掛ける。



チベット滝壺ルートをATMのトップアタックで突破。



ウクライナ最序盤、リットリオにATMのトップアタックを仕掛ける。



 総じて距離は400~600辺りが適正なようです。発射角にもよりますが、400以下だと目標との距離が短いのか、敵の後方に着弾することが多くなるようです(これを利用して目標の後方の敵集団に爆炎ダメによる範囲攻撃を仕掛けることも出来るかも知れません)。逆に遠過ぎると着弾前に爆発したり、軌道が前のめりになって目標の前面装甲に当たってしまい、トップアタックにならないことが多くなるようです。
 目標との距離と発射角の調整に慣れが必要で手間も掛かりますが、高所に行かなくてもトップアタックを仕掛けられる点は大きな利点です。ジャンプが不可能で高所に陣取り辛い9式や13式などの第一世代型にとっては、平地でも一撃で確実に敵AWGSを屠る遠距離攻撃を持てるのは恩恵が大きいです。特に13式は遠距離攻撃が8連発のKEMしかないため、これを切り札として温存したい時にATMのトップアタックを活用するのも良いでしょう。ジャンプ可能な16式やヤークトパンターでもジャンプや弾丸の温存になりますし、通常の撃ち方だと二発必要だったAWGSが一発で倒せるようになるので、運用法さえ的確なら実質15体のAWGSを撃破可能になるのも大きいですね。  
 ATM自体は戦場でポロポロ落ちるので、消費を気にする必要がないのもメリットです。何より高い軌道を描いて飛んでいくミサイルが敵の上面装甲を直撃する様は中々爽快なので、これだけのために試すのもアリかと。

 ちなみに、同様のトップアタックは高性能ホーミングミサイルでも可能ですが、ATMとは微妙に軌道が違うようです。13式のKEMは軌道が不安定で、現在のところ成功していません。また、チベットの滝の上から眼下のティーガーを狙う時のように、目標の上面が見えている場合なら通常撃ちでも上面部位に当たることが多く、トップアタックが成立します。



 オマケ動画



④NG動画。撮影中に事故りました。



チベットのトーチカ裏の歩兵用通路。敵の位置次第で裏の13式が狙えます。



ではまた!

ブルータルクラブは躍る

 今回は記事内容に重大な誤りを見つけたので久々の訂正記事です。何を間違えたのかと言うと、M15ランドクラブとM19ブルータルクラブの機体の構造という結構大きな間違いについてです。

 

 結論から言いますと、筆者は実はこの二機がずっと無砲塔型だと思っていたんです(ふぁっ?!)。つまり、スウェーデンの珍戦車Sタンクの如くこの二機に砲塔はなく、照準も車体ごと旋回して行うものだと了解していたんですね。

 

スウェーデンの国産戦車stvr103、通称Sタンク。第二次大戦中の突撃砲の如く、砲塔が存在しない独特のスタイルを持った戦車である。無砲塔故に照準は車体を旋回させて行う必要があるが、被弾投影面積がかなり小さく、砲を直接車体に固定出来るために同じ105㎜滑腔砲でもより長砲身のタイプを装備出来るなどメリットも多かった。現在は全車が退役し、ドイツ製のレオパルド2に更新された。

 

 ところが、先日たまたまブレイズの兵器図鑑を見ていたら、M19ブルータルクラブがしっかり砲塔旋回して射撃しているじゃありませんか奥さん‥‥‥。

 

 

 

 

 

 

あれ、砲塔だけしっかり旋回しておる‥‥‥?

 

 

 

てかそこ砲塔だったの‥‥‥?

 

 

 

砲身が脚部を思いっきり貫通してるけど大丈夫‥‥‥?

 

 

 

凄く綺麗なお花畑が‥‥‥、素敵な香りの白い花が一杯‥‥‥

 

 

 

 

 とまぁ、何でこんな致命的な誤解をしていたのか自分でも分からないんですが、これには大きく分けて三つくらいの理由があったと思います。

 

 一つは『ガングリフォンⅡ』のサバイバルモードで使えるブルータルクラブⅡの砲塔があまり旋回しなかったという記憶。砲塔旋回は概ねどのシリーズでも一定の角度までは旋回しますが、その後は車体ごと旋回してしまう仕様でした(百霊廟に登場するミヒャエル・ハルトマンのヤークトパンターⅡなどは360度旋回する)。しかし、ブルータルクラブの場合はこの旋回範囲が極端に狭く、ほとんど旋回しなかったと思うんですね(要検証)。

 

 また、ブルータルクラブは速度が非常に出るので、仮に砲塔旋回が出来ても使いこなすのは至難の技だったという記憶もあります。ブルータルクラブを使う時は敵に突進して攻撃し駆け去るか、車体ごと旋回して照準するか、高速走行のままサテライトして敵を倒すということが多く、わざわざ砲塔を旋回させて走行間射撃をした記憶があまりなかった(そもそも蟹を使うこともそんな多くなかったとは思うんですが)。

 

 勿論、これをもってM19ないしM19A1が無砲塔型ということにはならない筈なんですが、結果的にプレイ感としてはそうなっていたように思え、それが無砲塔型と誤読する遠因になったように思います。

 

 二つ目はM15にしてもM19にしても砲塔と車体がほぼ一体化しており、砲塔だけ旋回するように見えなかったこと。また、砲塔旋回時にはどう見ても砲身が脚部に引っ掛かりそうで(実際、兵器図鑑では明らかに干渉している)、これもその思い込みを強化する要因だったように思います。

 

右がM19ブルータルクラブ。一見すると砲塔と車体が一体化しているように見えるデザインで、砲塔だけ旋回するように見えない。ちなみに、砲身が脚に干渉する問題は左のティーガーにもあるが、レオパルド2風の外観により砲塔旋回するイメージが掴みやすい。

 

 三つ目はこのブログでやっている仮想戦記の影響。この仮想戦記はゲーム本編と絡む場面もあるとは言え、公式設定ではない筆者自身のオリジナル設定が多数盛り込まれています(このこと自体は公言している)。これらの架空の設定の中には勝手に設定したオリジナルAWGSも多数含まれているわけですが、それらの中にも無砲塔型の機体が多々あり(現用兵器で無砲塔ってのも考えてみると変ですが)、これらの機体の設定とM15、M19系統の機体が頭の中でごちゃごちゃになってしまった可能性があります。

 

 仮想戦記系の記事に関しては出来る限り筆者の独自設定であることを明記して原作と混同しないよう配慮してきたつもりですが、肝心の作者の頭の中で色々混ざってしまってしまっていたようです。

 

 しかしながら、最大の原因は筆者の観察力不足、注意力不足であることは間違いありません。思い返してみると、ゲーム中ではブルータルクラブが何度も砲塔旋回していると思しき記憶もあったのですが(特に解像度が増したブレイズでは)、上記のような思い込みがあったので注意が向かなかったようです。コンプリートファイルなどの資料でも無砲塔型と記した記述は認められないため、砲塔は存在するというのが正解でしょう。

 

 つきましては、この事実に基づいていくつかの記事の内容を訂正することとしました。幸い、ざっと見た限りこれらの機体を無砲塔型と明記した記事はあまり見つけられなかったのですが、何分根本的な部分で誤りがあった以上、どこかで似たようなミスを犯している可能性は捨て切れず、これについては見つけ次第その都度修正することと致します。

 

 今回修正する記事は架空戦記カテゴリーの記事、「第三次世界大戦戦後史・番外編 戦後のAWGS開発史」で、訂正箇所は「登場機体の設定」の「M19/M19A1ブルータルクラブ」の項目で、実際の訂正内容は以下の通りとなります。

 

 

 

訂正前↓

M19/M19A1ブルータルクラブ(ジェネラル・ダイナミクス

・ランドクラブにより強力な武装と装甲を施した改良型。新開発の複合装甲を追加して防御力の向上を図る一方、前部右腕に40㎜速射機関砲、左腕に20㎜ガトリング砲を装備することで火力の向上を図った。

 これらの改良により総合的な戦闘力は大きく増しているが、無砲塔型の為に照準時には機体ごと旋回しなければならない弱点がある。*1A1型は脚部にコンバットタイヤを装備した高機動型で、現存するAWGSの中でも最も高速な機体の一つである。

 

訂正後↓

M19/M19A1ブルータルクラブジェネラル・ダイナミクス

・ランドクラブにより強力な武装と装甲を施した改良型。新開発の複合装甲を追加して防御力の向上を図る一方、前部右腕に40㎜速射機関砲、左腕に20㎜ガトリング砲を装備することで火力の向上を図り、総合的な戦闘力が大きく増している。A1型は脚部にコンバットタイヤを装備した高機動型で、現存するAWGSの中でも最も高速な機体の一つである。

 

 以上になります。

 

「無砲塔型の為に照準時には機体ごと旋回しなければならない弱点がある。(ドヤッ)」とか、今後どのツラ下げてブログ続けてく気なんだって話ですが、御勘弁下さい(土下座)。

 今後も出来る限り正確な記述を心掛けるつもりですが、何分思い込みも強い筆者のことですから今後もミスが多発するのは火を見るより明らか。こうした箇所については気付き次第、その都度修正していけたらなと思います。余程重大なものでもない場合はこの限りではなく、予告しないこともありますが、ご了承ください。

 

 とまぁ、こんなことがあったのでツイッター上で「無砲塔型だと思ってたわ」と正直に告白したところ、「自分もそう思ってた」ってフォロワーさんも多くてびっくりしました。

 

 

 

 やっぱそう思いますよね~?!

 

 

 

 あれ砲塔旋回しそうに見えませんよね~?!

 

 

 

 筆者全然悪くないですよね~~~?!()

 

 

 

 

 

 

 あるフォロワーさんによると、そもそも砲塔旋回しなくてもスライド移動の時点で前足と腕が干渉したり、色々怪しい部分が多々あるのだとか。M19はティーガーに比べて小さな車体にかなり多くの機能を詰め込んでいるので、その辺りで無理が出ているのかなと思ったりしますが、まぁ開発側は分かってやってるのでしょうね。

 

ガングリフォンⅡ」の機体選択画面に出て来るブルータルクラブ。重装甲AWGSと表記されているため、装甲もそれなり以上に厚いようだ。

 

 そんな誤解はあったにせよ、M15もM19も個人的には結構好きなAWGSの一つです。ブレイズの兵器図鑑によるとストゥームパンターが「一時は最強との評価を得た」とのことでしたが、筆者としてはブルータルクラブⅡの方が遥かに強そうだなと思ったりして、最強の第一世代型AWGSはこいつだろうと密かに思ってるんですが、いずれまたそんな記事も書いてみたいですね。それではまた!

 

 

 

 

 

 脚注

 

*1:強調は元記事にはない

コラートよ、永遠なれ

先日ツイッターでフォロワーさん達とコラートの話をしてて面白かったので久しぶりに記事を投稿します。

 

コラートと言えばタイが開発した二脚型AWGSで、国境地帯に広がるジャングルでの活動を想定して駆動系を油圧系とし、パワーのある大型の腕で木々を薙ぎ倒しながら進むという、一風変わった機能を持つ機体です。APC軍の中では日中以外で開発された唯一の貴重なAWGSであると同時に、AWGS全体でも後発の部類に属する最新鋭機という位置づけの機体でもあります。

 

しかしこのコラート、戦争中期に初めて実戦配備されたという設定のためか、初代では5面のタートンくらいしか出番がなく、Ⅱに至ってはなぜかサバイバルモードのバレンツにのみ登場するというかなりレアな存在になっており、その変わった特徴の割にゲーム中での活躍は記憶に残りにくいという、最も地味なAWGSの一つではないかと思われます。

 

かくいう筆者も数年前までⅡには登場しないと思っていたクチで、登場していたことを知った時は確認のための記事までぶち上げ、「何で熱帯雨林での活動を前提にした機体が極北のバレンツに出て来るんだ?」と衝撃を受けたものです。筆者自身、バレンツは何度もプレイしましたし、コラートとも何度も遭遇していたはずなんですが、先のような機体設定からずっとBMXだと思い込んでいたんですね。

 

sitri.hatenablog.com

 

このようにとことん地味で影の薄いコラートですが、コンプリートファイルに掲載されている岡田厚利氏執筆の戦史を読むと、第三次大戦の一幕である意外な役割を果たしていたことが分かります。

 

それは戦争中盤、モンゴル高原での戦いに敗北したAPC軍が劣勢に回り、進撃して来るPEU軍を食い止めるべく万里の長城に最終防衛線を引いた頃のことです。中国政府は北京防衛のために各国に圧力を掛けて兵力を送らせますが、これらの国々では厭戦気分が蔓延し、加盟国間の結束に亀裂が生じ始めます。

 

2015年5月にモンゴルが独立してPEUに加盟したのを皮切りに、6月にはチベットが突如として中国からの独立を宣言。派兵されたPEUドイツ軍降下猟兵の支援も受けて激しい抵抗を見せますが、機動対戦車中隊の活躍により阻止されました。しかし、この隙を突くように今度は長年中国と対立するベトナムが中国領に侵攻し、広東省チワン族自治区省都南寧に迫ったのです。

 

この際、ベトナム軍にはなぜか実戦投入されたばかりのタイ製AWGSであるコラートが配備されていた*1という旨の記述があり、戦争の早期終結を図りたかったであろうタイから密かに供与されたことが示唆されています。*2

 

ベトナム軍の侵攻自体はやはり機動対戦車中隊の活躍によって阻止されたものの、ベトナム軍がタイ製のコラートを装備していた事実はAPC内部の動揺をよく表している一事だと言えます。

 

ガングリフォン・コンプリートファイルによるとタイ陸軍がコラートの実戦配備を開始したのは2015年の4月で、ベトナム軍の中国侵攻が6月28日ですから、開発国のタイですら僅か二か月前に実戦配備した兵器をベトナム保有しているというのはかなり怪しいわけです。

 

この二つの事件の影響は大きく、7月になると中国国内で戦争終結を求める和平派のクーデターが発生。更にオーストラリアがAPCからの離脱を宣言したのを皮切りに東南アジア各国もこれに続き、APCは日中を残して事実上崩壊します。8月にはアメリカが再び「世界の憲兵」を宣言し、これらの国々の自由の擁護と独立支援を口実に参戦。圧倒的な火力によって中国本土の三分の二を占領し、中国は遂に降伏に追い込まれます。

 

しかし、APCの崩壊はコラートを装備したベトナム軍が中国領に侵攻した時に既に始まっていたと見るべきでしょう。ゲーム中では地味なコラートですが、戦史の中では地味に重要な役割を果たしているAWGSなんですね。

 

このようにサターン時代はレアキャラ感が強かったコラートですが、PS2にプラットフォームを移したブレイズのチベットでは大量配備されたコラートの雄姿を拝むことが出来るようになりました。これは戦後になると中国などでも採用が進み、輸出に成功した結果と思われますが、サターン時代に不遇を囲った憂さ晴らしとでも言うようにとにかく大量に出て来ます。

 

しかも、このチベットに出て来るコラートは皆表情豊かで、洞窟に隠れていたり、滝に打たれていたり、大岩の下敷きになったり、三機で仲良く歩いてきたり、ATMを発射してきたり、実に可愛らしい一面を見せてくれます。チベットはコラートの秘境、コラートマニアなら決して避けては通れぬ聖地と言っても過言ではないでしょう(にも関わらず、「ブレイズにコラート出てったけ?」とか言われちゃうのはご愛敬)。

 

sitri.hatenablog.com

 

 

 

というわけでようやく本題に入りますがフォロワーさん達と話してたら「コラートのつま先の突起って結局何なの?」という話になりました。下の画像のつま先から飛び出ている突起がそれですね(実際には足の甲といった方が正確)。

 

タイが開発した二脚型AWGS、コラート。タイの工業力を表わすように、パーツは世界各国から調達されている。

 

筆者自身は漠然とワイヤーカッターかなと思っていました(この名称が正しいのかは分かりませんが)。読者の方はご存知でしょうが、戦場では敵の行動を妨害したり、時にはもっと攻撃的なトラップとしてワイヤーが張り巡らされることがあります。これらのワイヤーを切断するために、車体の前方にワイヤーカッターを装備した装甲車両というのも存在しているようです。

 

また、劇場版パトレイバー一作目の冒頭では風洞実験中に暴走した試作レイバーX‐10を破壊するため、陸自の空挺レイバー部隊が木々の間にワイヤーを張って待伏せしていた描写があります。この作戦は功を奏し、ワイヤーに絡めとられて行動不能に陥ったX‐10は陸自部隊の集中砲火を受けて文字通り蜂の巣にされ、遂に行動を停止します。

 

空挺レイバー部隊の集中砲火を受けるX-10。マズルフラッシュの光で機体に絡まった数本のワイヤーが確認出来る。

 

このワイヤートラップ、実はAWGSにはかなり効き目のある作戦かも知れません。既存の装甲車両に比べて車高が高く脚部も長いAWGSは、ワイヤーが絡まると容易に行動を阻害される可能性が高いからです。AWGS側は足元の視界が極端に悪くなることも予想されるので、場合によってはそれこそ転倒を狙うことも可能となるでしょう。

 

これらのことから、筆者はこのようなトラップ用のワイヤーを切断するためのワイヤーカッターだと思っていたんですね。形状的には刃のようにも見えますし、当たらずとも遠からずではと思っていたわけです。

 

しかし、改めてブレイズの兵器図鑑で確認したところ、意外な事実に気付きました。何とこの突起、歩行に合わせて可動するんですね。筆者がツイッター上に上げた動画がありますので、まずはこれを見てみましょう。

 

 

これを見ると、足の甲から生えた長い突起が歩行に合わせて倒れ、丁度包丁でも振るうかのような動きでつま先のクッション部分に当たっているのが確認出来ます。このような機能は明らかに何らかの目的を持って付与されたものでしょうから、何の意味もない突起とは思えないわけです。

 

フォロワーさんは「マチェットで低木を払うように」と表現されていましたが、的確な表現かも知れません。筆者が想像していたのはあくまでもワイヤカッターでしたが、大型の腕で木々を薙ぎ倒していくコラートの性質を考えると、むしろ足の甲のカッター状の突起とつま先で低木や倒木を挟みこみながら切り倒し、ジャングルの中を啓開していくといったよりワイルドな運用の方がしっくり来る気もします。

 

勿論、この突起が実際にどういった性質のものなのか確証はないわけですが、その動作やコラートの運用思想を考えると、何らかの刃物的性質を持っている可能性は高いと言えるのではないでしょうか。

 

ちなみに、この突起はサターン時代には再現されていなかったようですが、コンプリート・ファイルの設定画を見ると突起の根元に軸受けのようなものが見えるので、ブレイズになって急に追加された設定というわけでもないようです。恐らく、コラートがデザインされた頃から考えられていたギミックだと思われます。

 

こういう部分まで初期の頃から考えられていたのかと思うと、筆者はちょっとした感動すら覚えてしまうんですが、ガングリフォンに登場するAWGSはいずれの機体もデザインが良く練られており、かつ丁寧に扱われていることの証明になると思います。

 

これに限らず、「サターン時代から考えられてはいたがハードの制約で表現出来なかったことをPS2のマシンパワーで表現する」というのはブレイズという作品の大きな特徴です。が、それがコラートの足の甲の突起の可動という、恐らくほとんどのプレイヤーが気付かなかったであろう細部の再現に費やされている辺りに、徹底的にリアリティにこだわり、細部まで作り込んだ初代と同じ手つきの跡を見るのは筆者だけでしょうか?

 

ゲーム本編には何の影響も及ぼさないけれど、その作り込みが圧倒的な世界観を伝えてくれる。こういうマインドはガングリシリーズに共通した良さだということを改めて感じさせてくれる、コラートのお話でした。

 

 

 

 

 

脚注

*1:「しかも、なぜかベトナム軍はAPC加盟国の一国であるタイのAWGS、コラートを装備していた。」ガングリフォン・コンプリートファイル、60p

*2:ガングリフォン世界におけるベトナムは2008年に中国との間で第二次中越紛争を戦っており、紛争勃発後に中国主導でAPC軍が創設され、ベトナムに派兵された。この紛争の詳細は語られていないが、APC軍側の人的犠牲も無視できないレベルであり、憲法を盾に人的貢献をしない日本に批判が集中。結果的に日本外人部隊が創設される直接の契機となった。尚、明言こそされてはいないものの、この紛争といくつかの記述から推測するにベトナムAPCに加盟していない可能性が高い。

ロシア・ウクライナ戦争

どうも、しとりです。

 

ブログ放置して久しいですが、今でも定期的に見てくれる人がいるようで感謝です。

 

ロシア・ウクライナ間での戦争たけなわの昨今ですが、今回もツイッター上で素晴らしい論考を見つけたのでご紹介します。ロシアの劣勢を早くから予測していたKamil Galeev氏のツイートを、仮蔵氏が翻訳(?)してくれたものです。内容は非常に示唆に富む内容で、特に結末の部分では戦争が神話的なものであることに触れて、日本国内の一部で言われたいわゆる「降伏論」に対する見事な反証が既に展開されていた点も見逃せません。ぜひご一読下さい。

 

 

 しかし、前回の記事で戦史の探求さんの書かれたシリアにおけるロシア軍工兵の運用の記事を紹介したと思ったら、今回はウクライナでの戦争でロシア軍が敗北する記事を紹介することになるとは、何とも皮肉ですね。

 

てか自分で記事書けよって話なんですがね・・・orz